この研究で明らかになったように、ダウン症児は精神年齢が36ヶ月以上の児童(19名)が名詞優位のプロセスを使用しており、36ヶ月の精神年齢に満たない児童にはそのようなバイアスを発見することができなかった。36ヶ月より年齢の高いダウン症児には顕著な名詞優位が見られたことから、語彙の構築に必須だとされる名詞バイアスの使用の遅れが、ダウン症児の言語発達の遅延の説明となりうることが理解できる。この調査での言語構築プロセスにおける名詞優位の発見内容を踏まえて、言語習得の初期にダウン症児が名詞優位のバイアスを使用できるような療育に発展させ、ダウン症児の言語発達を促進することができれば、社会的意義となる。
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