研究課題/領域番号 |
18K00557
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研究機関 | 熊本保健科学大学 |
研究代表者 |
水本 豪 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (20531635)
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研究分担者 |
宇野 彰 筑波大学, 人間系, 客員研究員 (10270688)
塩見 将志 川崎医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (60711215)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 脳損傷 / 読み書き障害 / 失語症 |
研究実績の概要 |
本研究では、脳損傷例が呈する言語処理方略について、その出現に関与する要因を明らかにし、将来的に言語聴覚療法の臨床に還元することを目指す。脳損傷例が呈する言語処理方略に関しては多くの報告があるが、どのような方略かを観察するに止まっており、どういった背景要因のもとでなぜそのような方略が発動されたのかという本質的な問いに対しては未だ十分な答えが得られていない。特に言語特性(語彙特性、文字特性)の影響に関しては、ほとんど検討されていないものもある。そこで、本研究では、脳損傷例が呈する言語処理方略のうち、申請者らが症例報告を行ってきたテーマについて検討を行った。一連の研究は、言語聴覚療法に従事する福岡県及び熊本県の病院・施設に在籍する言語聴覚士と共同で進めた。 令和元年度は、前年度に引き続き、研究協力者である病院・施設の言語聴覚士と協働し脳損傷者への調査を行った。一連の検討や調査の結果、送り仮名を伴う読みを呈示した際に熟語を想起して正答するという特異な誤りを呈する書字障害例における言語属性の影響について明らかにすることができた(日本言語聴覚学会)。また、平成30年度に引き続き、書字障害に対する訓練効果についてさらなる知見を得て、その成果を公にすることができた(日本高次脳機能障害学会)。その他、失語症例に関する調査結果を発表するとともに(日本言語聴覚学会)、複数の論文投稿を行っており、令和元年度末の時点で掲載が決定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画段階において、令和元年度は、調査実施段階と位置付け、一連の症例検討や調査の結果、症例報告等について学会発表の形で成果を公にすることができた。また、別の1例について、令和2年度に報告することが決定しており、おおむね予定した形で研究を進めることができている状況である。
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今後の研究の推進方策 |
現在までのところ、全体的には研究計画はおおむね順調に進んでいる。ただし、令和元年度末に予定していた研究打ち合わせが新型コロナウイルス感染拡大に伴う行動自粛の観点から実施を見合わせ、令和2年度の実施内容に影響が生じる可能性が懸念される。状況を見極めながら研究を進める必要があると考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和元年度助成金に対し次年度使用額が生じた。これは大きく次の2点によるものである。第一に、物品等の調達において、より低コストで購入できたことによる。第二に、令和2年2月に予定していた分担者との打ち合わせが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う行動自粛の観点から実施を見合わせ、その結果、次年度使用額が生じることとなった。なお、新型コロナウイルスの状況によっては病院等での調査の実施に影響することも考えられるが、現時点では令和元年度に予定していた内容の一部を令和2年度中に実施する方針である。
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