本研究では, ミニマリスト・プログラムの概念的基盤を明らかにするために,科学史・科学哲学における理想化,因果性,実在の概念の分析に基づいて,特に生成文法/生物言語学の初期理論の概念的枠組みに焦点を当てて,これらの概念の分析を行うことを試みた. この分析の結果,この3つの概念は何らかの形で生成文法の初期理論の概念的枠組の一部となっていることが明らかになった.さらに,この分析結果が持つ,アメリカ構造言語学と生成文法/生物言語学の歴史的・概念的関係(連続性と非連続性)の分析や初期理論からミニマリスト・プログラムまでの理論的発展の概念的研究への理論的含意についても考察した.
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