研究課題/領域番号 |
18K00564
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
甲田 直美 東北大学, 文学研究科, 教授 (40303763)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 談話標識 / 真実性 / 応答 / 配慮 / グライス |
研究実績の概要 |
自然会話の中で、場面を横断して用いられる談話標識について検討した。まず、強調や応答に使われる談話標識について考察を行った。「本当」「実は」「実際」「確かに」など、「真実性」に言及する談話標識が会話でどのように用いられているか考察した。強意、賛同、相づちとして用いられ、会話相手への強い賛同や、話者の主張を強調する際に用いられていた。真実性を何に用いるかという点では、逆接表現との共起が顕著だった。対比や譲歩で多いこと(何に用いられるか)をコーパスから実証した。真実性の標識が特定の構文で好んで用いられることを示し、それぞれをグライスの理論と対応づけた。 真実性の標識は、あえてメタ的にそれが事実とマークするということは、有標であり、その発言自体が何らかの企みをもっている。あえてメタ的に確信や信憑性について言及するということは、単に事実というのではなくて、その後に言いたいことが述べられる。例えば戦う議論の前提では、前提としての「真実」として共有し、その後で主張が展開される。主張を展開するために、会話相手と共有したい真実性や事実性を、これらの標識でマークし相手に示す。 さらに、前の表現に後から何かを付け加える表現「ただ」「実は」について、それぞれが担う配慮について、前後件の関係から考察した。「ただ」によって主張を限定させて後ろから付加することにより、相手の主張を否定せず、配慮した言い方となっていた。「実は」は背後にある理由を相手と共有することで配慮を示していた。「実は」は談話の範囲のその部分にのみ、あえて事「実」だと表示することによって、その部分が特別な事情であることを相手と共有する。どちらも談話内での機能を援用して、前後の文脈の受け渡しの中で配慮を示す標識として用いられていた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
接続詞系の談話標識に加え、2020年度は副詞類、とくに、真実性の談話標識を扱った。研究は概ね順調だが、予定していた国際発表が採択されたが、コロナのため中止となった。2021年度オンラインで開催するとのことなので再度チャレンジする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度中止になった国際発表はオンラインで開催されることが決定したので、発表予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナのため学会や研究打ち合わせがオンラインで開催されたため、旅費がかからなかった。
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