研究課題/領域番号 |
18K00564
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
甲田 直美 東北大学, 文学研究科, 教授 (40303763)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 談話標識 / 動態変化 / 通時態 / 共時態 / 社会言語学 |
研究実績の概要 |
一定の共時態における談話標識と接続詞のバリエーションから動態変化を探った。 例えば一部の接続詞は、前後の表現間の関係を明示するだけではなく、会話内で応答や言いよどみなど、感動詞のように機能することがある。 副詞「本当(に)」「確かに」も同様に、副詞としてだけではなく、応答表現として用いられる場合がある。これは、相手との相互作用のために、より効果的な表現を求め、これらの表現が用いられると考えられる。 会話では相手との一致を大きくするために、配慮上、より強い表現が求められる。「はい」「うん」などの相槌では強い同意を表すことができず、これらの真実性を表す副詞が応答に用いられる。談話標識は、ある表現が流行ると話者は頻繁にそれを使用する。 BTSJ自然会話コーパスをもとに調査したところ、これらの応答詞としての使用には男女差が見られた。このことから、ある一定の共時態データにおける談話標識、接続詞、接続助詞を属性、場面別に観察することで、そこに見られる接続表現のバリエーションから変化の様態を探る可能性について論じた。 また、日本語と英語との対照を行い、応答用法においては、certainly, exactlyなどが確からしさを表す副詞としては用いられるが、日本語のように応答として多く用いられることは英語のコーパスからは確認できないことを指摘した。これを慣習化の違いとして位置づけた。これまで扱ったデータを含めて検討し、全体的見通しを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施は滞りなく進めることができた。しかし、コロナの感染状況のため、対面出張ではなくオンラインで参加することとなった。このため、旅費を使用しなかったため、翌年度に研究費を持ち越すことになった。
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今後の研究の推進方策 |
談話標識の使用の変化を相互関係上の要因から解き明かし、国際語用論学会で発表を予定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナの感染状況により、学会参加がオンラインとなり、旅費を執行できなかった。
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