本研究では、認知言語学の分析のためのより進んだ実証的な方法論の検討・適用を試みた。第一に、コーパスデータへのフレームに基づいたタグ付与とその計量的分析によって、その背後にある文化モデルの抽出を行った。ケーススタディーとしては英語のfairと対応する日本語を対象とした。第二に、構文分析の観点から、文脈情報の処理に関わる表現について考察した。具体的にはinsteadの用法の歴史的推移に着目し、談話内でのスコープの拡大と生起位置の変化を分析した。加えて、認知言語学の理論的課題について今後の方向を探索し、言語資源や心理学実験の機材を導入した。これらの成果は学術論文、著書・編著、翻訳等を通じて公開する。
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