研究課題/領域番号 |
18K00568
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
野元 裕樹 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (10589245)
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研究分担者 |
塩原 朝子 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (30313274)
川村 よし子 東京国際大学, 言語コミュニケーション学部, 教授 (40214704)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マレー語 / 態 / 受動文 / コーパス / 語彙資源 |
研究実績の概要 |
受動文の対照研究:マレー語の受動文は、動作主の表現法によりpro型(明示的な動作主が生起しない)、DP型(動作主名詞句が動詞の直後に生起する)、oleh型(動作主名詞句が前置詞oleh「~によって」により導入される)、ハイブリッド型(DP型とoleh型の組み合わせ)の4タイプに分けられる。本研究では、4つの下位タイプの有無とその頻度・使い分け、受動文における非標準的なVS語順の生起について、地域変種間のミクロな変異を調べる。初年度である今年度は、先行研究でよく知られている、古典マレー語では継起する事象を表す際に受動文が用いられるという現象について、標準インドネシア語、口語ジャカルタ・インドネシア語、ブルネイ・マレー語、クパン・マレー語を対照した。調査した4変種のうち、ブルネイ・マレー語と口語ジャカルタ・インドネシア語で受動文の使用が観察された。前者ではpro型、後者ではDP型が主に用いられていた。 言語資源開発:マレーシアの標準口語マレー語とサバ・マレー語のデータを「マレー語変種コーパス」の一部として公開した。さらに、これらのデータとMoeljadi (2014)の口語インドネシア語のデータに形態情報を付与し、オンライン上のコーパス検索システムMALINDO Concから検索できるようにした。新たなデータとして、マレーシアのサラワク州でサラワク・マレー語のデータ収集を行った。また、マレー語文章解析システム「マレー語チュウ太」において、複単語表現を扱えるようにするための準備も行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
文法研究、言語資源開発ともに順調に研究が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
文法研究:形態情報付与を行ったライプツィヒコーパスを用いれば、標準マレー語と標準インドネシア語について、計量的な分析ができるので、それを行う。各自のこれまでの研究で収集したデータやマレー語地域変種の先行研究にあるデータに基づき、受動文の下位タイプの有無について総合的に整理するということを行う。 言語資源開発:今年度収集したサラワク・マレー語のデータの書き起こし、チェック作業を終え、公開する。そのデータからマレー語形態辞書MALINDO Morphに新たな語を追加する。いくつかのマレー語変種のデータを新たに収集する。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度はこれまでに各自が収集したデータやコーパスデータに基づいて研究を行ったため、現地調査のための旅費が計画よりも大幅に少なくなった。次年度は、計画通りに現地調査のための旅費が発生する予定である。
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