研究課題/領域番号 |
18K00569
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
呉人 徳司 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (40302898)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | チュクチ語 / モンゴル諸語 / 動詞の多動性 / 東部ユグール語 / ダグル語 / 西ブリヤート語 |
研究実績の概要 |
この一年間ロシアではチュクチ語と西ブリヤート語について,中国とモンゴル国でモンゴル語,ダグル語について現地調査を行ない,一次資料を収集することに集中した。 チュクチ語については,使役,逆受動,逆使役構文の解明を行ない,使役接辞の種類によって,強制の度合いに差異が生じることを解明し,その成果をロシアで開催された国際学会で発表したほか,日本語で論文として執筆した。またチュクチ語の民話にロシア語訳を付け,二冊の本として出版し,テキスト分析を進め,今後の研究に利用できるようにした。モンゴル語については,動詞の使役と受け身について,通時と共時という二つの視点から分析し,その成果を中国で開催された国際学会で発表した。また西ブリヤ-トと東部ユグール語,ダグル語の動詞の他動詞について研究を行ない,その成果を日本,モンゴル国で開催された国際学会で発表した。 このように,この一年間は研究計画通りに研究を進め,その成果を研究発表と学術論文として公表し,かなりの成果を収めることができた。実績を上げることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では,研究対象とする言語が話されているロシア,中国,モンゴル国に行き,現地調査を通じて,一次資料を収集し,系統が異なる言語の動詞の他動性を解明することを目指している。昨年の夏モンゴル諸語が話されている中国の西北地方と東北地方に行き,モンゴル諸語の東部ユグール語とダグル語チチハル方言の現地調査を行った。ロシアでは,西ブリヤート語の現地調査を行ない,これらの言語の一次データに基づき,日本,モンゴル国,中国で開催された国際学会でモンゴル諸語の多動性とヴォイスについて研究発表をし,その一部を日本語で論文として執筆した。チュクチ語の多動性については,主に動詞の使役について研究し,接辞の種類によって,使役の度合いに差異が生じることを解明し,その成果をロシアで開催された国際学会で発表し,また日本語で論文として執筆することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は,系統とタイプが異なるチュクチ語とモンゴル諸語の動詞について,類型論的観点から比較対照することを目的としている。この目的を達成するために,今後の三年間は対象言語について,さらに多くデータを収集し,精査し,類型論的比較研究の視点から問題意識を持って,他動性を解明することを目指す。またロシア,中国,モンゴル国に行き,現地の研究機関,図書館などでも文献資料を収集し,分析を行なう。そして,アメリカ,ヨーロッパ諸国の研究者たちとも打ち合わせを行ない,研究者それぞれの知見を持ち合い,議論を重ね,研究の成果を国内外の研究会、学会で発表するほか,学術雑誌にも論文として投稿し、公表する。
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