研究課題/領域番号 |
18K00569
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
呉人 徳司 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 教授 (40302898)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 動詞の他動性 / モンゴル語 / チュクチ語 / 自動詞 / 他動詞 / 使役 / 受け身 / 逆使役 |
研究実績の概要 |
2019年度は昨年度に続き、チュクチ語のほかにモンゴル語のオイラード方言、モンゴル語族に属する土族語の現地調査を実施し、動詞の他動性に関する一次尻資料を収集することができた。詳しくは以下の通りである。 チュクチ語について、2019年の7月と8月は、ロシアのモスクワ州に居住するチュクチ語の1人の話者から、また9月の下旬にはチュクチ自治管区の中心地であるアナディリ市にて、チュクチ語の動詞の他動性に関する聞き取り調査を行ない、またこれまでの資料を検証することができた。 モンゴル諸語に関しては言えば、2019年の8月初めに中国の青海省に行き、一週間かけて、土族語の話者から多くの民話資料を採集し、資料の整理・分析を行なった。また、土族語の自動詞と他動詞の形態的な対応関係を探ったほか、モンゴル語の動詞の自他との類似点と相違点について検証した。さらに8月7日から10日間モンゴル国に行き、首都ウランバートル市でモンゴル語のオイラード方言の他動性に関する聞き取り調査を行なった。 チュクチ語とモンゴル諸語に関する現地調査の成果をモンゴル国科学アカデミー言語文学研究所、ロシアの北東連邦大学、ロシアのカルムィク国立大学、アメリカのパテュー大学、中国の北京語言大学、内モンゴル大学などで開催された国際学術会議で口頭発表を行なうことができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題にそって、二年目の目標を達成ために、現地調査による一次資料を収集することが最も重要である。そして、対照研究の視点からモンゴル諸語とチュクチ語の動詞の他動性の類似点と相違点を探り、その成果を学会で発表したり、論文としてまとめることである。 中国の青海省でモンゴル諸語の一つである土族語の話者から民話資料をはじめ、貴重な一次資料を収集することができたことは、モンゴル語と比較研究において、大変重要な収穫であり、2020年度以降のモンゴル諸語の研究を進めるのに、大きなステップを踏んだことになる。 この一年間の現地調査は、概ね順調に進み、成果を取り纏め、その一部を公開できたのである。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題では、最初の二年間の研究を実施し、ある程度の成果を収めることができた。残りの二年間では、モンゴル語の他動性を探るのにブリャート語、カルムィク語の自動詞と他動詞の形態的対応関係をよく調べる必要がある。チュクチ語に関して言えば、今まで採集した民話資料をよく分析し、動詞の他動性に関わるさまざまな例文を列挙し、細かく分析することに力を入れていく予定である。
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備考 |
モンゴル語を話すモンゴル国、中国の内モンゴル自治区、またモンゴル語族に属し、モンゴル語に非常に近いロシアのブリャート語の名詞術語について、初めての国際会議を実施し、三ヵ国の術語の類似点、相違点について討論した。、
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