南太平洋のヴァヌアツ共和国は83の島々からなる。ここではおよそ30万人に、文字を持たない100あまりの現地語と国語ビスラマ語が話されている。本研究が対象とするツツバ語は現地語のひとつで、ツツバ島でおよそ500人に話される北・中央ヴァヌアツ諸語に属する言語である。 本研究は現地調査により、ツツバ語の言語特徴を明らかにするとともに、ツツバ語を含む3言語辞書の作成をめざすものである。最終年度には未収の見出し語を加筆し、さらに見出し語ごとに以下のセットを設けた。①ツツバ語の語彙とその変異形、品詞、②ツツバ語の語彙をツツバ語で説明、③ツツバ語の語彙をビスラマ語(ヴァヌアツの国語)で説明、④ツツバ語の語彙を英語で説明、⑤ツツバ語の例文(見出し語が複数の意味を持つ場合、それぞれについての例文)、⑥グロス付与(例文の各形態素について、意味・文法機能の明示)、⑦ツツバ語例文のビスラマ語訳(見出し語が複数の意味を持つ場合、それぞれの例文についての訳)、⑧ツツバ語例文の英語訳(見出し語が複数の意味を持つ場合、それぞれの例文についての訳)。 上記に加え、索引として、ビスラマ語からツツバ語を引く逆引き索引、および英語からツツバ語を引く逆引き索引を設けた。また辞書の冒頭には、世界の言語状況とツツバ語の状況、ツツバ語の文法概略、文字への転写、略号一覧など、ツツバ語の背景と、本辞書を読むうえで必要となる項目を設けた。
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