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2022 年度 実施状況報告書

グイ語の焦点表示と情報構造

研究課題

研究課題/領域番号 18K00582
研究機関麗澤大学

研究代表者

大野 仁美  麗澤大学, 外国語学部, 教授 (70245273)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2024-03-31
キーワード情報構造 / コイサン
研究実績の概要

今年度もCOVID19の感染状況が継続したため、当初予定していた現地調査は実施できなかった。それにかえて、これまで収集した談話資料(主に伝統的民話)を用いたデータベースを拡充した。これらについては、トランスクリプション・アノテーション・タグ付けをそれぞれ進めた。
一方で、このような状況のため断念していたグイ語と比較対照するためのガナ語調査が、都内在住の母語話者の協力を得て可能になった。今年度は初期的な調査を行い、基本的な文法体系のうち、人称パラダイムと時制・アスペクトカテゴリーをほぼ明らかにすることができた。その結果、これまで研究代表者が接してきたグイ語話者とコミュニティーを共有してきた変種(つまりかなり「グイ化」した変種)とこのガナ語は文法体系もかなり異なっていることがわかったので、この変種とグイ語を比較対象することにより、グイ=ガナに共通する特徴と、片方にしか見られない特徴、他方から借用している現象などをこれまでよりも明確に区別できるようになった。中でも、情報構造に関わる項目として、重文における主語位置の固定(接続詞の前)というグイ語に見られる現象が、ガナ語には見られないという大きな知見をえた。グイ語では語順は焦点化と関連しているが、複数の節が連結する場合、先頭の節以外は主語位置が固定されるため語順のバリエーションは小さくなる。同様の現象がガナ語でも見られるのか、それとも、主語の固定化がないのだからガナ語では語順がグイ語以上に情報構造に深く関与するのかを今後検証する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

4: 遅れている

理由

現地調査が実施できていないので、当該研究のために研究期間初期に収集した資料の母語話者の協力を得ながらのトランスクリプションや正誤確認ができないままになってしまっている。確認できないまま当該研究の研究期間が終了する可能性が高くなったので、要確認箇所についてはそれを明らかにしておいた上で分析を進めることを検討する。ガナ語資料や他のグイ語資料を追加することでその不備を補う。

今後の研究の推進方策

来年度が研究期間最終年度となるので、当初予定していた現地調査はおそらく実施不可能であることを前提とし研究を進める。すでに収集した録音資料を用いたデータベースの作成・拡大を進め、同時に全体を分析対象とするのに適した談話を選び、関連項目が相互にどのように働きあうのかを詳細に観察する。またガナ語の調査を継続し、当初の予定通り、上記で述べた語順に加え、焦点表示マーカー・同定詞・指示詞の相互関連の様相をグイ語と比較対照する。

次年度使用額が生じた理由

COVID-19の感染状況から判断して、予定していた現地調査および国際学会参加を見送ることになったため、計上していた予算を繰り越すことになった。2023年度については海外調査は予定せず、そのための予算はコーパス整備のための人件費として利用する。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)

  • [雑誌論文] Towards a phonological typology of the Kalahari Basin Area languages.2023

    • 著者名/発表者名
      Nakagawa, Hirosi, Alena Witzlack-Makarevich, Daniel Auer, Anne-Maria Fehn, Linda Gerlach Ammann, Tom Gueldemann, Sylvanus Job, Florian Lionnet, Christfried Naumann, Hitomi Ono, Lee J. Pratchett
    • 雑誌名

      Linguistic Typology

      巻: - ページ: -

    • DOI

      10.1515/LINGTY-2022-0047

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] How universal is complementation? And does corpus type influence our answer?2023

    • 著者名/発表者名
      Nicholas Evans, Wayan Arka, Danielle Barth, Henrik Bergqvist, Christian Doehler, Sonja Gipper, Dolgor Guntsetseg, Yukinori Kimoto, Dominique Knuchel, Hitomi Ono, Eka Pratiwi, Saskia van Putten, Alan Rumsey, Andrea Schalley, Stefan Schnell, Asako Shiohara, Elena Skribnik, Yanti
    • 学会等名
      Naturally occurring data in and beyond linguistic typology.
    • 国際学会
  • [学会発表] Typological features of Consonants in Khoisan languages of the Kalahari Basin Area.2022

    • 著者名/発表者名
      Lee Pratchett, Alena Witzlack-Makarevich, Linda Ammann, Daniel Auer, Anne-Maria Fehn, Tom Gueldemann, Sylvanus Job, Florian Lionnet, Christfried Naumann, Hitomi Ono, Hirosi Nakagawa.
    • 学会等名
      Francqui International Professorship Symposium: The Diversity and Documentation of Speech Sounds in Languages of theWorld.
    • 国際学会

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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