「日本語」等がそうであるように、「モンゴル語」という名称も「モンゴル文語」、「現代モンゴル語諸方言」を含む意味で使用されてきた。しかし、現代社会で「日本語」や「中国語」は古代日本語や漢文でもなく、特定の方言でもなく、実際、「標準語」としての現代の書きことばを指す意味で使用されている。このような状況を考えれば、モンゴル国で憲法における「モンゴル語」が法的に定義を求められるのは必然的なことであった。しかし、このような専門性の高い問題に対する法律的定義づけには限界があり、本研究は、歴史社会言語学の視点から「モンゴル語」の認識に理論的根拠を与えたと考える。
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