研究課題/領域番号 |
18K00590
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
首藤 佐智子 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (90409574)
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研究分担者 |
小西 隆之 早稲田大学, 国際学術院, 助手 (90780982)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 謝罪 / 音声 / パラ言語情報 / 発話行為 / 誠実性条件 / 感情音声 |
研究実績の概要 |
2018年度は、本実験に先立つパイロット実験を行った。その結果、いくつかの問題点が明らかになったため、数回に及ぶ実験プログラムの書き直しを余儀なくされた。例えば、当初の予定では、刺激音声として使用する謝罪音声を録音する際には、個々のシナリオにおいて固定した表現を提示する予定であったが、パイロット実験での協力者への聞き取り調査等によって、提示された表現が不自然に感じられる可能性もあることが明らかになった。自然な発話を録音するためには協力者たちが自然に感じる謝罪表現を提示することが不可欠であり、このために当初予定していなかったアンケート調査を2度行い、シナリオにおける自然な謝罪表現を特定した。このアンケート調査から、個々のシナリオにおいて自然と感じられる謝罪表現はかなり集約していることが明らかになったので、この結果を2019年3月に開催された電子情報通信学会の思考と言語研究会においてContextual Variations in the Apologetic Expressions in Japaneseと題して報告した。この発表内容は、同学会発行の電子情報通信学会技術報告(信学技報)に同タイトルで論文として掲載されている。この報告/論文では、アンケートの調査結果をもとに謝罪表現のクラスター分析を行い、男女間の使用に差があることを示した。アンケートの母数が小さいため、統計的に強い結論を導くことができなかったが、表現の使用における男女差を示すモデルとしての可能性をもつ結果である。 2019年度は特定した自然な謝罪表現を用いて発話実験を行い、その録音音声を用いて知覚実験を行う。発話実験のプログラムはコンピュータサイエンスを専門とする研究補助に依頼し、既に作成が終了している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上述の通り、実験プログラムの大幅な書き直しを複数回行なったため、刺激音声の収録が遅れており、当然ながら、知覚実験を行なうことができない状態である。しかしながら、問題があることがわかった上で、予定された計画に添うことを優先するのでは本末転倒であることは明らかなので、この遅れ自体は研究全体の面からは問題ではないと考える。むしろ計画段階よりも本プロジェクトの本質とする部分に対する理解が深まったという点では生産的な回り道であったとみなしている。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は本来ならば2018年度に実施される予定であった音声の収録を行い、できるだけ早く知覚実験に進めるように努力したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究報告の欄で記述した通り、2018年度に計画された実験が実施できなかったため、残額が生じた。これは2019年度に実施する予定である。
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