研究課題/領域番号 |
18K00591
|
研究機関 | 愛知大学 |
研究代表者 |
塩山 正純 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (10329592)
|
研究分担者 |
朱 鳳 京都ノートルダム女子大学, 人間文化学部, 教授 (00388068)
伊伏 啓子 北陸大学, 国際コミュニケーション学部, 講師 (40759841)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 官話 / 近代西洋人の官話研究 / 西洋資料 / 東西言語文化接触 / 外国語としての中国語 / 問答テキスト |
研究実績の概要 |
本研究は、課題申請の際にも述べたように、近代(概ね17から19世紀)の東西言語文化交渉の時代に、主にカトリック、プロテスタントの宣教師を中心とする西洋人が、外国語研究の対象として非母語話者の視点から観察した“官話”の研究の成果の主要な表現媒体である問答テキストを基礎資料として、語彙・語法・文体の共時的・ 通時的考察によって、非母語話者・外国語学習者としての西洋人の視点で観察された“官話”像を解明しようとするものである。 その目的のために、概ね課題申請の際に計画した内容で研究活動を行い、主にはイギリスの大英図書館、オックスフォード大学ボードリアン図書館での調査によって撮影・収集し整理・テキスト化した問答テキスト資料をもとに考察を行い、その初歩的な成果として、19世紀後半に中国で活躍した宣教師ネヴィアスの夫人が中国国内で刊行した問答テキスト『耶蘇教官話問答』の数種類の版本について、2018年12月に北京外国語大学で開催された国際シンポジウム「東西語言的接触与互動――近代東西語言接触研究学術会議2018」において。「倪戈氏(倪維思夫人)《耶蘇教官話問答》簡析」のテーマで発表した。 また、同じく近代西洋人による中国語研究を研究対象とし、品詞研究の通時的考察を行なっている研究課題(17K02750)とリンク・相互補完した研究活動によって、伊伏啓子、朱鳳の両氏とともに、2018年10月に関西大学で開催された世界漢語教育史研究学会にて、1860年代のサマーズ以前の西洋人の中国語の品詞認識の通時研究に関するパネル報告を行い、それをもとに愛知大学中日大辞典編纂所『日中語彙研究』に特集論文を発表した。 また、上述した資料調査によって収集した各問答テキスト資料の整理・テキスト化も順次行なっており、研究に必要な資料も徐々に蓄積されつつある。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2018年夏期にオックスフォード大学ボードリアン図書館にて行った現地資料調査で、近代西洋人の手による官話問答体の資料を複数収集することができたが、所属先での突発的な用務が発生したことにより、写真撮影した資料について、現在に至るまで整理作業を継続しており、作業完了までにもう少々の時間を要する見込みであり、若干の遅れが生じている。
|
今後の研究の推進方策 |
1年目(平成30年度)で行った作業内容に沿って、今年度も研究活動を行う予定である。 資料調査については、国内では、所属先の愛知大学図書館貴重書・漢籍室の所蔵資料、関西大学東西学術研究所の鱒沢文庫、尾崎・内田文庫、同総合図書館の所蔵資料、海外では、宣教師資料を多数所蔵するイギリス大英図書館・オックスフォード大学ボードリアン図書館(もしくはフランスBNF、リヨン市図書館)の所蔵資料を対象とした調査を行い、問答テキスト資料の収集を継続する。 基礎作業と考察については、収集した資料・文献のデジタル画像の整理、印刷・簡易製本の各作業と、重要度による順位づけによりテキスト入力を継続し、語彙索引・本文対照表を作成し、これをもとに各資料の語彙・語法の特徴について分析・考察を進める。 成果報告については、東アジア文化交渉学会、世界漢語教育史研究学会(いずれも国際学会)での発表と、それをもとにした論文執筆を予定している。
|
次年度使用額が生じた理由 |
海外資料調査がその他の出張日程に合わせて実施することが出来たために、予想外の節約に繋がったことが理由として挙げられる。本年度(2年目)については、これらの予算を有効活用して、より綿密に資料調査を行い、データの蓄積に努める。
|