研究課題/領域番号 |
18K00593
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
崎田 智子 同志社大学, グローバル地域文化学部, 教授 (10329956)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 発話構築 / 認知 / 対話性 / 響鳴 / 伝達 / 対話統語論 / 認知語用論 |
研究実績の概要 |
本研究では、対話統語論・伝達理論・認知言語学の知見を統合した認知語用論的アプローチにより、言語の対話性と響鳴を基盤にして、発話の相互作用を支える認知・スタンス・間主観性を探究し、発話構築プロセスとその認知的背景の解明を目指している。 本年度は、第一に、響鳴を基盤にして、話者がスタンスを表明し、複数の話者がスタンスを管理調整しながら話者間提携を結び、間主観性を保持しながら会話を進めるプロセスを、異なるジャンルで分析した。具体的には、日常会話や語りでスタンスがどのように言語使用に現れるかを、談話構造、談話標識、人称代名詞、接続詞、モダリティ、時制/アスペクト、副詞句、形容詞、に注目して分析し、特に話題によって差異が生じるかに焦点を当てた。さらに、スタンス表現だけでなく、スタンス間の相互作用に焦点を当て、話者間または同一話者内のスタンス差異がどのように調整されるかを分析した。相互作用における話者のスタンスとりに関するジャンル間の共通性や差異が明らかになった。 第二に、コロナ禍にて海外フィールドワークが滞り続けているため、国際共同研究体制を整備し、海外と日本とでそれぞれデータ収集を行い、共同で分析する方式を取り入れた。対照言語学的手法を取り入れるため、各地でセッティング・トピック・質問を統一してインタビューを行い、データトランスクライブ、英訳、分析を行い、オンラインミーティングにて比較分析を進めてきた。特に、伝達言語の研究に社会文化的視点を導入し史実の語りに焦点を当てるため、歴史資料館等に協力を依頼し、集合的記憶伝承について広く文献を収集した。記憶の再構築に基づく伝達について響鳴とスタンスの視点から分析を行う基盤を固めた。現在、伝達者、被伝達者、聞き手、との間での間主観性の醸成、伝達に関わる事実性、認識性、伝聞証拠性、等に着目している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本年度は、コロナ禍により年間を通して国外でのフィールドワークの中断を余儀なくされたため、データ収集の見送りが発生した。また、成果発表予定学会も延期になったものがある。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍により国外でのフィールドワークが滞っているため、国外の研究者との研究協力体制を整備した。データ及び資料の収集及び共有、オンラインミーティングによる情報交換、を活用していく。それぞれの国において同一の場面設定を行った上で自然言語データ収集を開始したため、今後、これらのデータ処理の統一、英訳、等を行い整理し分析を進める。また、既存のデータやcorpusを活用する。 国内での可能なデータ収集も進める。海外渡航のめどが立ち次第、フィールドワークを再開する。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により前年度に引き続き、フィールドワークや研究打ち合わせのための海外渡航の延期を余儀なくされた。また、成果発表を予定していた国際学会が次年度に延期となったもの、及び、国内外の学会がオンライン開催に変更になったものもある。これらの予算を次年度以降に繰り越し、延期分については再開のめどが立ち次第、使用する予定である。
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