本研究は、ベンガル語の音象徴システムを代表する表出語の包括的なコーパスの構築、表出語辞典の作成、およびベンガル語の音象徴システム全般に関する論文の執筆を目指した。 最終年度の2022年度の研究成果としては、インド独立75周年・日印国交70周年記念出版として、めこん社よりタゴール『少年時代』を出版、関連の講演を京都大学・神戸市立博物館・愛媛大学で開催。また、2023年2~3月にインドに出張、3名の研究協力者と会合を持ち、本研究のこれまでの成果と今後の研究の方向性について確認。インド出張中に、タゴール国際大学およびカリンガ文学祭にて、科研成果に関連した講演を行なった。 プロジェクト期間全体の成果としては、2020年度に、南アジア諸言語の表出語をめぐる英語の共著書(Badenoch and Choski eds)の中で、ベンガル語の音象徴システムをめぐり、大西と研究協力者ドットの共著による章と、研究協力者ショルカルによる章の、主要論文二本を出版。また、『ムンダ語擬音語擬態語辞典』の中で、大西・ドット共著の、ベンガル語表出語についてのデータおよび論文を執筆。続けて2021年度には、大西・ドットが共著者として加わった、南アジア諸言語の表出語辞典をめぐる英語論文を出版した。本年度の『少年時代』出版については上に述べた。 表出語コーパスの構築および表出語辞典の作成は、コロナの影響で現地協力者とのコミュニケーションに支障を来たし、予定より遅れて現在も継続中であり、2023年度に始まる新規科研に引き継がれる。また、日印文化交流ネットワーク、およびめこん社のウェブサイト上で、大西によるベンガル文化紹介と文学翻訳の連載が続いている。前者では、2021年5月から2022年7月まで、上述の『少年時代』を連載。また、後者は、2020年10月から現在まで、ベンガル語近現代文学の翻訳連載が続いている。
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