「すべて」や「たいてい」のような量化表現の解釈は文構造だけでなく情報構造にも影響をうける。本研究では情報構造と量化の関係を従来とは異なる視点から解明することを目指した。具体的には「若手芸人がヤクザ映画に出演するとたいていそいつはすぐ殺される」のような文の「そいつは」は量化副詞「たいてい」に束縛される解釈が可能で(=ヤクザ映画に出演するたいていの若手芸人はすぐ殺される)、その場合主題とは解釈されないことを観察した。その結果、「ハ」自体に主題機能があるのではなく、焦点領域にないことが課される要素であると分析すべきであることがわかった。この成果は理論研究と応用研究の両面において貢献するものである。
|