「人がいかに体験(現前のできごと)、そして知識(現前にないできごと)を言語化するか」は語彙、構文、語用を通して一言語のシステム全体を理解するための核心的な「問い」である。本研究の目的は、日独語比較を通じて「体験」と「知識」の機能的言語類型を実証的・理論的に解明することである。これまでデータ収集や関連文献の読み込み、海外研究者との共同研究を通じて、ドイツ語と日本という系統的にも地理的にも隔絶した2言語の比較対照によってそれぞれの言語の特徴を浮き彫りにし、「体験」と「知識」の表現に関して別の言語「類型」でありながら同一あるいは類似した「機能」を有していることなどを明らかにしてきた。 しかし2021年度も新型コロナウイルス感染症の影響が続き、海外研究者の日本招へい、論文執筆のための打ち合わせ等が困難であったことに加え、研究代表者の体調不良もあり、研究活動を十分に進めることができなかった。
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