研究課題/領域番号 |
18K00601
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研究機関 | 東京学芸大学 |
研究代表者 |
吉田 夏也 東京学芸大学, 教育学部, 研究員 (60316320)
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研究分担者 |
北原 真冬 上智大学, 外国語学部, 教授 (00343301)
白勢 彩子 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (00391988)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 無声化 / 心内処理 / 視線計測 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、母音の無声化が脳内での言語処理過程において、どの段階でおこなわれているかを知ることである。このために、2018年度から2019年度にかけて、日本語の語彙として自然に無声化が発生している音声刺激と人工的に無声化を削除(つまり有声化している)した音声刺激を使用して、話者の反応を取得たところ、この2種類の刺激に対する反応速度を調べたところ大きな違いが見られなかったことから、無声化が言語処理過程中で比較的あとの段階である音声処理過程で起きている可能性が示唆された。 この仮説をさらに詳しく調べるために、2020年度から画像と音声刺激をマッチングさせる実験を構築した。この実験では、無声化に関して対応している画像と無声化とは対応せず矛盾している画像をPC画面に提示して、画面上での視線軌跡の時間変化を調べることで、話者が音声刺激のどの段階で無声化の有無を判断しているかを明らかにすることを目標としている。感染状況の悪化により、たびたび実験の中断を余儀なくされていたが、今年度の後半から、本格的に実験を開始して、十数名からデータを採取することができた。 また、実験の効率化をはかるために、研究費を使用して分担者の研究室に、これまで使用していた実験機器一式をあらたに設置した。これに伴って、二か所の実験施設での実験時に提示する音声の音量に相違が生じることを防ぐために、ダミーヘッドを購入してヘッドホン出力の較正をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本実験は精密機械である視線計測装置を使用しており、実験前に調整が必要なため、オンラインで実験を実施することはむずかしい。今年度は、改良した実験プログラムを使用して、対面での実験を再開する予定であったが、感染症の再流行により、実験参加者と実験場所の確保が困難となったため、実験を延期した。 その後、年度後半より、感染状況が改善したため、感染状況に留意しながら、充分な感染症対策をおこなって、実験参加者の安全を確保した上で、実験を再開した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、さらにデータの収集をおこなって、データ量を増加させると同時に、データ分析プログラムの開発と改良をおこなう。この分析結果をすみやかに学会などで公表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会(発表なし)は、すべてオンライン開催であったために、出張旅費は発生しなかった。また、実験の再開が遅れたため、謝金の発生機会が少なかった。 次年度は、実験の再開に伴った実験費用(主に実験参加者への謝金)の発生と対面で開催される学会に参加することで、旅費が発生する見込みである。
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