研究課題
本研究は(ア)精密な形態論情報および文脈情報を付与した近世語コーパスの構築と、(イ)コーパスに基づく統計的手法による近世語文法の「通説」の再検証という2つの目的をもつ。2021年度は、本研究課題の最終年度にあたるため、(イ)としてこれまですすめてきた「通説」の再検証の結果を国際学会等にて発表し、広く専門家の意見を求めることを最大の目的とした。その目的を遂行するため、オンラインで開催された16th International Conference of the European Association for Japanese Studiesにおいて、コンビナーとして"Studies of Early Modern Japanese Based on the Corpus of Historical Japanese"というパネルセッションを主催し、そのセッションにおいて市村太郎氏(常葉大学)と共同で"Utilization of Speaker Information Annotated in the Share-bon corpus and the Ninjo-bon corpus"という研究発表を行い、ディスカサントのSven Osterkamp氏(Ruhr University Bochum)やフロアの聴衆と議論を行い、本研究課題で明らかになった新事実をより精錬させるヒントを得た。(ア)としては、国立国語研究所が構築している「日本語歴史コーパス」(CHJ)のサブコーパス「江戸時代編Ⅱ 人情本」に、本研究課題が構築した文脈情報の実装をはかる作業を昨年度に引き続き行ったが、研究代表者が現在部局長の任にあるため、十分な作業時間が確保できず、CHJのサブコーパスへの実装を実現することができなかった。サブコーパスへの実装は本研究課題終了後の課題として引き続き対応する予定である。
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