研究課題/領域番号 |
18K00619
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
福沢 将樹 愛知県立大学, 日本文化学部, 教授 (30336664)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 談話分析 / 文章論 / 注釈 / 草子地 / 物語論 / アスペクト / 品詞論 |
研究実績の概要 |
「〈上演〉を読む読者─玉上「三人の作者」「二種の読者」論を再考する─」(『物語研究』20)は2020年3月刊行なので、本来ならば前年に報告しておくべきものであったが、元になった口頭発表が更に以前ということもあって報告を落としていたので、追記しておく。「草子地」という形をとる〈注釈〉としての側面は、玉上の研究で扱われているが、その玉上論の批判的検討として、社会学と物語論の接合を図ったものである。〈作者〉〈語り手〉あるいは〈読者〉〈聞き手〉の成立のモデルを再検討した。これらは談話展開が行われる以前の役割配置であり、未だ〈注釈〉作業の行われない段階の配置の問題であるが、〈注釈〉を行いうる権利者、誰のために行う〈注釈〉行為なのかを論じるためには必要なモデルであるため、本研究課題に関わるものとしておく。 それ以外に、当該年度に公表できた成果は、残念ながら存在しない。色々なテーマでの調査執筆を同時並行して行ったが、いずれも形を成すまでには至らなかった。但し授業資料として、例年ならば簡単なレジュメに口頭での説明を加える程度で済ませたものを、遠隔授業のために、説明を言語化する作業を繰り返したため、「論文」という形ではないもののそれなりの文章量に上る説明文を作成するに至った。その中には本研究課題に関連するものもあり、談話文法に関わる新しい品詞の設定に関わる問題、物語論とその認知言語学側面に関わる問題、抄物資料の注釈書的側面に関わる問題など、小規模ながら考察を深めることができた。授業以外では、学術論文のメタ言語的表現の研究、狂言における出会いの場面の研究、接辞・単語論・文論や品詞論の研究など、論文化への作業を続けた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当該年度に限っては表面上は進捗しなかったが、研究課題開始時から現在までというスパンでは、必ずしも遅滞に陥っているとは言えず、おおむね順調と呼んで良いものと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
来年度に入ると、研究費も残り少なく、継続が苦しくなるが、これからの約2年の間に今までの成果を文章化し公表にこぎつけることを目標とする。また新たな研究資金の獲得も検討する。
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