研究課題/領域番号 |
18K00619
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研究機関 | 愛知県立大学 |
研究代表者 |
福沢 将樹 愛知県立大学, 日本文化学部, 教授 (30336664)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 談話分析 / 文章 / 品詞 / 注釈 / 語り手 |
研究実績の概要 |
「談話品詞論試論」(『愛知県立大学 説林』70)において、本研究課題の「注釈的表現」を含む品詞体系の大まかな全体的粗描を行うことができた。談話の開始・継続・終了に注目することは、ロマン・ヤコブソンの「接触」機能として指摘されていることと重なることであることと、「文」を最大単位とする従来の品詞論と本研究課題の「談話品詞論」は発想が異なり、後者は「中核」ではなく「周辺」から見るしかないことなどを指摘した。但し、「注釈的表現」の位置は、開始・継続・終了に注目する「談話品詞論」とは異質な点があるが、かといって無いものとするわけにもいかず、各「品詞」を列挙する中で一緒に扱ったものである。 「書評 福田嘉一郎著『日本語のテンスと叙法――現代語研究と歴史的研究――』」(『日本語の研究』17(3))は、福田氏の「テンス」と「叙法」を論じたものへの書評であり、主たる内容としては本研究課題に直接関わるものではないが、文法論と文学理論に跨る観点を論じたものとして本研究課題に関わる点に触れたところがある。即ち、ある種の日本語文法研究において「虚構世界の語り」と「現実世界の報告」の2分類がよく行われてきたが、これとは別に「現実世界の歴史叙述」の類が第3の類型として位置づけられるべきものであることを論じた。これは「注釈的表現」を挿入する「語り手」がどのようなスタンスで自分の文章・談話を述べているのかということでもあるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
最大の懸案であった「談話品詞論」の全体像を、曲がりなりにも言語化し公表することができた。また書評の中でではあるが、改めて物語論と文法論の橋渡しに関連する話題を見直すことができた。その他に、次年度に公表される予定の別の論文の執筆も進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度に使用する予定の研究費を2020-2021年度に前倒し使用してしまい、また前年度申請に落ちてしまったため、研究費が不足している状況である。他の財源への応募も行っている。
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備考 |
「書評 福田嘉一郎著『日本語のテンスと叙法――現代語研究と歴史的研究――』」日本語の研究』17(3)、pp.50-57
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