研究課題/領域番号 |
18K00628
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
櫛引 祐希子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (10609233)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 方言 / 共通語 / 日本語 / テレビ番組 / 表象 / ポストモダン |
研究実績の概要 |
神奈川県横浜市にある放送ライブラリーにて①「福井のお米で10キロ痩せた タミーの322日」(福井放送、1983)、②「岩手に生きる 和賀のねってしバンザイ」(IBC岩手放送、1984)、③「おもしろおかし ザ・話芸」(関西テレビ放送、1986)、④「正しい東北弁話し方講座」(NHK、1987)の4本を視聴し分析した。「方言」の表象という観点で以上の4本の番組をまとめると、結果は次のようになる。 ①では、アメリカからの留学生が日本での高校生活を通して新しいアイデンティティを獲得した証として「方言」が表象されている。②では、失われつつある地域の文化としてだけでなく、取り戻したい日本人の自由な精神を象徴する言葉として「方言」が取り上げられている。③④は娯楽番組と教養番組という位置づけは異なるものの、両番組とも伊奈かっぺい氏による津軽弁の発音に関する話芸が登場することから、当時方言の話芸が一定の人気を集めていたことがうかがえる。だが、伊奈かっぺい氏による津軽弁の発音に関する話芸は共通語の音声や文字表記との対比のなかでおこなわれており、「方言」が娯楽の対象になったというよりも、「日本語」の多様性が娯楽の素材として扱われたと見ることができる。 なお、「方言」をタイトルに用いながらも、結果的に「日本語・日本人」論になっている④は、前代以上に「個性」や「多元性」を志向しながらも、その志向が多数派の論理のなかで展開されていた1980年代を象徴する番組であると言える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
年度の途中で所属機関を異動したことで、視聴調査を進める予定であった長期休暇の計画を変更した。 また、視聴対象のテレビ番組の内容や構成によって分析のための書き取りに予定以上の時間を要する場合があったため、当初の研究計画よりもやや遅れる結果となった。
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今後の研究の推進方策 |
初年度にテレビ番組における「方言」の表象について大方の傾向を把握することができたことを踏まえ、今年度は教養として「方言」を取り上げた東日本放送「週刊ことばマガジン」(2005年~2011年)を中心に分析する。 また、初年度の視聴調査を通して、放送ライブラリーで視聴できる番組の分析だけではポストモダンと呼ばれる時代における「方言」の表象の全体像が把握できないことが明らかになったため、少し遡って1970年代以降の「方言」をテーマにしたNHKの教養番組の視聴分析を実施したいとも考えている。だが、これはNHKアーカイブスを利用した学術トライアルの審査を通過しなければ実施できない。なお、仮に審査に通過したとしても視聴調査のための移動経費はかからない。
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次年度使用額が生じた理由 |
所属機関の異動により研究計画が遅れたことで、データの整理を依頼する補助員の手配ができなかったことをはじめ、放送ライブラリーでの視聴回数を変更せざるをえなかったため、次年度使用額が生じた。 今年度は、研究の遅れを取り戻すべく補助員によるデータの入力作業(6月から)と放送ライブラリーでの視聴回数を計画通り実行する予定である。
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