研究課題/領域番号 |
18K00628
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
櫛引 祐希子 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (10609233)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 方言 / テレビ番組 / 表象 / 地域文化 / 地域活性化 |
研究実績の概要 |
放送メディアにおける方言の活用について先駆的な研究をおこなった日高貢一郎は、「マスコミにおける方言の実態」(『講座方言学 方言概説』1986)で、テレビ番組における方言の活用を①「番組の素材(あるいは話題)」、②「方言で作られた作品の紹介」、③「出演者による番組づくりの手段」に類型化している。 今年度の研究では①の中身を掘り下げる目的で、平成30年度から放送ライブラリーで視聴した方言をトピックにした教養番組(1990年~2010年に制作)を整理した。その結果、「地域文化としての方言の再発見」(例:県民カレッジテレビ放送講座ふるさとに謡ありて ~富山の民謡から 民謡と方言<北日本放送、2001年2月17日、29分>)、「地域活性化のために使用される方言の紹介」(例:これがおらだの走る路 山形鉄道黒字化プロジェクト<山形放送、2009年5月30日、37分>)、「方言に対する批判的分析と再評価」(例:笑われる方言 名古屋弁の消える日<東海テレビ放送、1991年5月18日、54分>といったテーマで分類できた。それぞれ番組としての切り口は異なるが、現代社会における方言の希少化に制作者の関心があることは共通している。 また、2000年以降、方言を高齢者の人生を物語る素材として取り上げる番組が多数制作されている点も注目される。特に沖縄の方言と戦争を生き抜いた高齢者を取材した番組(例:生きる×2 いま、共に輝いて―方言キャスターの戦争体験-<沖縄テレビ放送、2004年8月15日、25分>、NNNドキュメント’10 いじてぃめんそーれ 故郷へ進軍した日系米兵<日本テレビ、2010年8月9日、25分>)は、戦争の悲惨さだけでなく日常のつつましやかな暮らしに根付いた方言が人生の困難を乗り越える力になりうることを描いている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染拡大防止のため、本研究に必要な調査(神奈川県横浜市にある放送ライブラリーでの視聴調査)を2022年3月18日から21日までしか実施できなかった。
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今後の研究の推進方策 |
夏季休暇を活用し、本研究に必要な調査(神奈川県横浜市にある放送ライブラリーでの視聴調査)を遂行する。また、最終年度として今まで視聴した教養番組の内容一覧と教育研究活動への活用の提案を報告書にまとめる。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染拡大防止のため予定していた調査の遂行が困難となり、予算執行の使用計画に変更が生じた。
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