本研究では1980年代から2000年代に制作された複数のテレビ番組を調査した。日本の方言を題材にしたテレビ番組は、テレビが大衆メディアの主役であった20世紀の終わりにおいて、当時の方言の社会的位置づけだけでなく、人々の抱く方言に対する価値観などを映し出してきた。 1980年代以降、方言に対する社会的評価は高まったとされる。だが、テレビ番組における方言のありようは、一元的な評価におさまるものではない。失われゆく伝統的な文化の中で継承が望まれる文化の一つとして描かれる場合がある一方で、後進的な地域社会の象徴や奇抜なサブカルチャーの代弁者として描く番組も少なくない。
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