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2020 年度 実施状況報告書

日本語表現史的観点からみた北部九州方言に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K00633
研究機関別府大学

研究代表者

森脇 茂秀  別府大学, 文学部, 教授 (40269121)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2022-03-31
キーワード日本語史 / 日本語表現史 / 北部九州方言 / 希望表現 / 比況表現 / 五島方言 / 島嶼部方言 / 条件表現
研究実績の概要

今年度は、日本語表現形式の中で、希望表現、就中、終助詞「なむ」を考察し、次のような結論を得た(「終助詞「なむ」小考」(『筑紫語学論叢3 -日本語の構造と変化-』)。まず、終助詞「なむ」は、和歌中に用いられる用法が多く、「なむ」で文が終止しないときは引用節と承接する。さらに、終助詞「なむ」は、係助詞「は」「も」と共起する。和歌中の「なむ」の用法で、「反事実、反過去に主として用いられ、~してくれたらよかったのに、というような意味を表わし、怨念の気持を余情に持つ」があるが、「反事実」や「反過去」は、事実と異なる基準となる時点があり成立する。基準時とは和歌であれば、和歌を詠むとき、心話文であれば、主体の心理(動作)が生ずるときである。さらに、「なむ」の動作の実現は、人為の及ばないものであることが多い。これは「詠嘆的希望表現」と関連し、比喩表現に用いられ、「なむ」は、「とく」「いつしか」「はや(も)」などのような、動作・作用の時間的早さを表す語と共起した場合には、「主体的希望表現」となる、等を明らかにした。
日本語表現形式全体の特徴を再構築するためには、これまでの研究と併せて、日本語表現形式を精査し、史的変遷過程等を明らかにすることが必要であり、この研究は、表現研究において、重要な研究成果であると考えられる。
また、現在の方言を対象とした研究結果についてについては、本年度は、昨年度に引き続き『方言文法全国地図』を参照した方言調査を五島市で実施し、方言談話の分析を行う予定であったが、実地調査は、新型コロナウィルス感染症の拡大ため、中止せざるを得なくなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

現在の方言を対象とした研究は、十分な成果を上げるために、現地に赴く時期や時間を勘案しなければならない。その分析自体に時間を要している。また、今年度末の、新型コロナウィルス感染症のため、実地調査を中止せざるを得なくなり、研究の進展に影響を与えている。
一方、文献を対象とした日本語表現史研究は、概ね順調に進展していると考えられるため、研究の全体的評価は、やや遅れていると判断した。

今後の研究の推進方策

今後も、文献とフィールドワークを含めた現在の方言との連関を勘案しながら、バランスのとれた研究を進め、研究課題を引き続き進めていく。また、実際のフィールドワーク調査の時期を勘案しながら、オンラインによる聞き取り調査等も視野に入れ、研究を進めて行く。

次年度使用額が生じた理由

実際現地に赴いてフィールドワークを行うために、旅費や人件費の出費を予定していたが、新型コロナウィルスのため、実地調査等が不可能となったため。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2021

すべて 図書 (1件)

  • [図書] 筑紫語学論叢Ⅲ2021

    • 著者名/発表者名
      筑紫日本語研究会
    • 総ページ数
      518
    • 出版者
      風間書房
    • ISBN
      9784759923735

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公開日: 2021-12-27  

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