研究課題
コロナ禍の影響で1年延長した結果、本年度が本研究の最終年度となった。そのため、(1)これまでに得られた研究成果を最大限に活用し、三層モデルにもとづく日英語の構文研究をさらに発展・拡充し、できるだけ学会発表や論文の形で刊行していくことを目指すとともに、(2)全体の総括も兼ね、特に、日英語の構文の特徴は三層のデフォルト的関係とその解除によって特徴づけられるとする基本的仮説の妥当性を改めて検証する方向で研究に取り組んだ。(1)については、代表者・分担者とも三層モデルに関する学会発表や論文の形での発表を行った。廣瀬は、三層モデルが他者の思いをどのように受け止め、伝えるかという「主観の客体化」現象を説明する理論的基盤になること、三層モデルのこれまでの発展の経緯、そして、三層モデルが日英語におけるデフォルト的三層関係とその解除という仕組みを併用することで、今後の意味・語用論的対照研究の方向性を示唆する理論たりうることを、3件の招待講演で力説した。和田は、三層モデルを自らが推進してきた時制理論・モダリティ理論と一体化した包括的時制解釈モデルをさらに発展させるとともに、特に日英語の一人称小説における時制選択とその解釈に関する論文を中心に発表した。金谷は、特にbecause X構文を私的表現が埋め込まれた公的表現と分析することで、公的自己中心の英語でのデフォルト志向性の解除がもたらす効果に関する論文を中心に発表した。(2)については、上述のような発表を行うとともに、三層モデルの基本的仮説を継承しつつその発展的可能性を扱う論文集出版に向けて始動した。さらに、三層モデルに詳しい研究者として奈良女子大学の今野弘章氏を招き、日英語の特殊構文に関する講演会を開催し、本研究の課題についてもより広い視野からの検討を行った。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件)
Tsukuba English Studies
巻: 40 ページ: 1-25
時制・アスペクト・モダリティ・視点と状況把握・状況報告
巻: - ページ: 123-153
巻: 40 ページ: 123-153
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