研究実績の概要 |
本研究の目的は、日・英語のオクシモロンの解釈の仕組みについて、関連性理論で提案されている「アドホック概念構築」という表意の復元にかかわる語彙解釈の推論プロセスを中心に分析を試みることにある。この研究目的を達成するための準備段階として、2018年度は、研究実施計画に沿って、(1)本研究の理論的基盤となる関連性理論の概要をまとめ、(2)これまでのオクシモロンの研究の確認、及び(3)日・英語のオクシモロンの用例収集と分類を中心に研究を進めた。 上記の(1)については、関連性理論の基本概念を再確認し理論全体の概要をまとめた。特に本研究とかかわりのあるアドホック概念構築については、最新の研究成果などの確認も行い、理論的基盤を最新のものにするようにした。また(2)については、意味論やレトリック研究などでのこれまでの議論を中心に、Arii(1990)、有光(2011)、伊藤(2013)、Leech(1969)、森(2002)、中村(2007)、野内(2002, 2005, 2007)、大森(1994)、佐藤(1987, 1992)、瀬戸(1988, 1997, 2002, 2012)といったオクシモロンに関する先行研究の調査を行い、オクシモロンとはどういった表現なのか、定義的な側面をまとめるとともに、これらの研究での分析結果を確認した。(3)については、上記(2)のオクシモロンの先行研究の確認と並行して日本語のオクシモロンの用例を中心に収集した。そして収集した用例で用いられている語同士の反義関係の観点を踏まえてそれらの分類方法の検討を行った。
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