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2021 年度 実施状況報告書

言語構造における「標示」のインターフェイス研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K00641
研究機関福井大学

研究代表者

中村 太一  福井大学, 学術研究院教育・人文社会系部門(教員養成), 准教授 (00613275)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワード構造構築 / 標示 / インターフェイス / 省略
研究実績の概要

本研究は、言語機能とインターフェイスを形成する外部システムが統語構造を解釈するためにのみ必要であると考えられている「標示」の存在を、統語構造と外部システムのインターフェイスの観点から追及・解明し、その理論的・経験的帰結について詳細に検討することを目的とする。この目的を達成するために、今年度は、異なる統語的特徴を持ち、このため異なる「標示」を持つと考えられる構造が、意味のインターフェイスにおいて同一とみなされる場合があるか調査した。もしそのような場合が存在すれば、異なる統語的特徴を持つ異なる構造が、同一の「標示」を与えられていることが示唆され、「標示」決定の仕組みの解明につながる可能性がある。この調査の結果、音と意味の同一性が課せられるとされてきた日本語の空所化では、「自他の交替」や「壁塗り交替」といった異なる項構造に生起可能な動詞のうち、同一の形態のまま項交替を起こすものについては、交替形間で統語的・意味的な違いがあるにも関わらず、同一の動詞としてみなされ空所化が適用可能な場合があることがわかった。この結果は、当該の統語的・意味的な違いは、動詞それ自体に還元することが不可能なことを示しており、語(動詞)形成を統語部門で扱うアプローチ(Borer (2005), Marantz (1997), Ramchand (2008)他)を支持するものである。また、これら違いは、語形成を統語部門で扱うアプローチをとった場合、統語上で形成された動詞自体は同一の「標示」を持っているはずであり、語根を動詞化する機能範疇それ自体の違いから導くことができないことが示唆され、動詞句の「標示」決定の仕組みの研究について貢献する可能性がある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

今年度は、省略という観点から、「標示」と外部システムとの関係について考察を行い、その成果を論文の形で発表した。しかし、成果の一部については、現在論文の形で発表すべく準備を進めているところである。

今後の研究の推進方策

「標示」なしの統語構造の存在、そこから導かれる可能性である外部システムが「標示」以外の情報に基づき解釈を行っている場合を考慮に入れ、「標示」の存在に批判的検討を加える。成果を論文の形にまとめ発表する。

次年度使用額が生じた理由

昨年度が補助事業期間最終年度であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響による遅れのため研究計画に変更が生じ、補助事業期間を延長した。これまでに得られた成果をまとめ、論文の形で発表する際の、英文校閲料として使用する予定である。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] Left Branch Extraction in Coordinated Wh-Questions in Japanese and English2022

    • 著者名/発表者名
      Masako Maeda, Taichi Nakamura and Kensuke Takita
    • 雑誌名

      Japanese/Korean Linguistics

      巻: 28 ページ: 49-63

  • [雑誌論文] 日本語の空所化と項構造2022

    • 著者名/発表者名
      中村太一
    • 雑誌名

      ことばの様相ー現在と未来をつなぐー

      巻: - ページ: 358-368

    • 査読あり

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公開日: 2022-12-28  

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