研究課題/領域番号 |
18K00642
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研究機関 | 浜松医科大学 |
研究代表者 |
中安 美奈子 浜松医科大学, 医学部, 教授 (80217926)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 時空間体系 / 四次元分析 / 談話 / 歴史語用論 / 歴史談話分析 |
研究実績の概要 |
本研究は、英語の歴史における時空間体系を分析するにあたり、これまでの分析に新たな次元、すなわち談話を加えることにより、時間・空間・歴史・談話による四次元分析を行うことを目的とする。話者は言語を使用する際に、モノやコトとの距離を判断しながら時空間要素を使用し、近称か遠称のパースペクティブをとっている。本研究においては、中英語に焦点を当てながら、談話においてこういったパースペクティブがどのように展開するのか、この談話における展開にどのようなファクターが関連しているのかについて分析を行っている。 本年度は、昨年度までの研究結果を踏まえ、主としてチョーサーとパストン家書簡集(中英語)の時空間に関する分析を行い、時空間体系の四次元分析を精密化することにつとめた。 チョーサーをコーパスとした分析においては、カンタベリー物語とアストロラーべ論を用いて、時空間の要素に関するこれまでの分析の誤りを修正したうえで、特に次の談話に関する要素に注目し、レジスターの違いがどのように談話における時空間体系に影響を与えるのかを分析した。(1)談話を構造化する要素、(2)近称あるいは遠称のパースペクティブを取りやすくさせる要素、(3)パースペクティブを交替させる要素、(4)時間体系、空間体系、そして時空間体系の中でパースペクティブを交替させる要素である。また、パストン家書簡集を用いて、上記の談話に関する要素に着目し、異なる書き手が談話においてどのように時空間体系を活用しているのか分析を行った。 今後については、これまでの研究結果を踏まえ、中英語の時空間体系の分析を精密化し、談話に関する分析を行い、時空間体系の四次元分析に関する一定の成果を得る予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの研究との連続性、また、今後の分析の土台を形成するという観点から、すでに行っているチョーサー・コーパスの時空間体系に関する分析を修正し、談話分析を行った。カンタベリー物語に関する論文を出版、また、異なるレジスターを分析したものは学会発表が予定されている。また、パストン家書簡集を用いて、書き手の多様性を考慮に入れた談話分析を行った。これらの分析の結果は、国際学会において発表が確定している。 そのため、現在までの達成度としては、おおむね順調に進展していると判断する。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度においては、次の点に重点をおいて研究をすすめていく計画である。 1 中英語の時空間体系の分析を精密化し、データベースを拡充する。2 談話に関する分析をさらに精密化する。3 談話分析の結果から、時空間体系の四次元的な検討を行う。4 いくつかのレジスターを比較することにより、相違点を特定する。5 歴史語用論の方法論が進展していくことが予想されるため、常に最新の情報に注意を払い、本研究の方法論に取り入れる。6 国際的に活躍している研究者から、研究を進めるうえでのレビューを得る。7 本研究の成果を国際学会等で発表し、学会誌等に投稿する。
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