研究課題/領域番号 |
18K00644
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研究機関 | 名古屋工業大学 |
研究代表者 |
横越 梓 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80508391)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 二次述語 / 統語構造 |
研究実績の概要 |
1.現代英語における叙述の構造についての考察:1)これまでの現代英語における小節の構造についての分析と、他の叙述構文の構造についての分析から、叙述関係を表す構文の統語的・意味的特性の共通点・相違点を明らかにした。2)現代英語において、叙述構造がどのような機能範疇によって導かれるかを明らかにした。3)現代英語における叙述の構造が最先端の言語理論の下でどのように捉えられるのかを考察した。 2.叙述関係を導く範疇の歴史的統語変化:1)叙述関係を表す構文が現代英語に至るまでどのような特性を持っていたのかを分析した。特にどのような発達があったかを文法化の観点から探り、叙述構造の歴史的変化があったことを証明した。2)英語の描写述語に関する歴史的データの調査結果から、叙述関係を表す構造に対する統語的分析を、小節の構造に対する統語的分析と比較検証した。 3.叙述の統語構造と位相理論:共時的・通時的な観点から:1)筆者のこれまでの叙述に対する分析について、共時的な観点と通時的な観点からの調査結果をまとめた。特に現代英語における描写述語の統語構造について、先行研究の問題を指摘し、統語テストを行い統語構造を提案した。描写述語が叙述する名詞句の特性により統語構造が変わり、それぞれの統語位置を明らかにし統語構造を提案した。2)ミニマリスト理論の下で、叙述の構造がどのように説明されるのか検証した。そして「叙述は機能範疇Prの存在に集約される」という申請者のこれまでの提案に対する、本研究の考察をまとめた。3)2)に基づき、位相理論の概念的妥当性を考察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
分析の方向性としてはおおむね順調に進んでいると言える。予測から大きく外れる調査結果があるわけではなく、分析は順調であると言える。ただし、当該年度については、新型コロナウイルスの影響により、研究に費やす時間が大幅に削減され、さらに予定していた海外での調査も行えなかった。これらの理由により、データが十分に揃えられなかった部分がある。そのため、予定通りの調査や研究が出来ずに予定よりもやや遅れていると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
1)筆者のこれまでの叙述に対する分析について、共時的な観点と通時的な観点からの調査結果をまとめる。資料収集にやり残した部分が出てくることが予想されるため、追加的なコーパス資料の分析やアンケート調査を実施する。コーパスの調査範囲を広げる予定である。また、統語テストを行い、提案した統語構造が正しいと言える証拠を示す。2)ミニマリスト理論の下で、叙述の構造がどのように説明されるのか検証する。そして「叙述は機能範疇Prの存在に集約される」という申請者のこれまでの提案に対する、本研究の考察をまとめる。3)2)に基づき、位相理論の概念的妥当性を考察する。4)国内外の学会に研究発表を応募し、採択されたところでまとめた調査結果を発表する。5)最終年度であるため、報告書を作成する。
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次年度使用額が生じた理由 |
主な理由は、当初予定していた国内外の出張が新型コロナウイルスの影響によりすべて中止となり、そのため旅行費を使用する機会が無くなったためである。
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