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2019 年度 実施状況報告書

アイロニーと認識に関する認知語用論的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K00650
研究機関奈良女子大学

研究代表者

吉村 あき子  奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (40252556)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードアイロニー / ストーリー・アイロニー / 認知語用論 / 反対関係的偽の認識構造 / 帰属性 / 先行認識と現実認識 / 状況アイロニー / 意図と願望
研究実績の概要

「明日はいい天気だよ」という友人の言葉を信じて一緒にピクニックに出かけ、大雨に降られてその友人に「本当にいい天気ね」というとアイロニーである。現時点(2020.06.13)では、「アイロニーの話者は、発話時点の話者以外の誰かに帰属される思考に対して乖離的態度を表現する」(Wilson 2009)というアイロニーの言語学的定義が広く受け入れられているが、これはギリシア悲劇や状況アイロニーを説明できない。ピクニックの例はことばのアイロニーであり、オイディプス王は出来事の成り行きに感じるストーリー・アイロニー(本研究の用語)である。本研究は、人がアイロニー性を認識する限りにおいて、分析対象のレベルを超えて何らかの共通点があると仮定し、認知処理プロセスの視点から、何が人にアイロニー性を認識させるのかを明らかにすることによって、アイロニーの本質解明を目指すものである。
平成31(令和1)年度は、ストーリー・アイロニーに焦点を当て、アイロニー性に貢献する認知語用論的特性を抽出/ 特定し、その成果を第16回国際語用論学会で口頭発表した。例えば人は、『オイディプス王』のストーリー(「父親を殺す」という神託を受けたオイディプスは、それを避けるために国を離れ、たどり着いた国で怪物退治に関わるが、それと知らずに実の父親を殺すことになる)にアイロニーを感じる。状況アイロニーを含むストーリー・アイロニーをデータに、日本人被験者に調査を実施し、アイロニー性に貢献する認知特性を抽出し、その妥当性を確認した。すなわち、少なくとも日本人がアイロニー(皮肉)を認識するストーリーは、a「対象に対する先行認識と現実認識の間の反対関係的な偽の構造」(河上2018)が生じていること、b先行認識に伴われる意図/願望に基づく行動が現実認識の事象が生じる原因になっていることによって特徴づけられることを明らかにした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究で言うところの、事の成り行きに感じられるストーリー・アイロニーのデータ収集に時間がかかるが、認知特性の抽出に成功し、国際学会に採択されて口頭発表を行った。おおむね順調に進んでいると判断する。

今後の研究の推進方策

計画通り進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス感染症感染拡大により、予定していたデータ収集及び整理作業に予定していたアルバイト謝金の執行及び海外文献入手ができなくなったため。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2019

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) (うち国際学会 1件)

  • [雑誌論文] Another Property of Irony: Findings from Observing Story Ironies2019

    • 著者名/発表者名
      YOSHIMURA Akiko
    • 雑誌名

      Studies in European and American Language and Culture

      巻: 7 ページ: 15-35

  • [学会発表] Another Property of Irony: Findings from Observing Story Ironies2019

    • 著者名/発表者名
      YOSHIMURA Akiko
    • 学会等名
      16th International Pragmatics Conference
    • 国際学会

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公開日: 2021-01-27  

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