研究課題
本研究では、Chomsky (2013, 2015) によって提唱されたラベル付け理論において、長距離でのagreementは維持されるべきか、を重要なテーマとして設定している。ラベル付けには、agreementが必須であるとされているにも関わらず、この点に関して深い議論がなされていないためである。また、従来の研究では盛んに議論がなされていた、英語の倒置構文や日本語の与格主語構文に関しても、ラベル付け理論におけるagreementの位置付けが不明瞭であるために、以前ほど着目されなくなったという実情もある。いわゆる、これらの動詞句内主語構文、動詞句内主格構文に焦点を当てながら、agreementを中心にラベル付け理論の精緻化を行うことが目的である。2019年度は、本研究テーマに関して、2件の学会発表を行った。2019年8月に行った国際学会Glow in Asiaでの発表は、ラベル付け理論におけるagreement素性の継承に関する精緻化を行い、この成果は、同学会のProceedingsとして同年10月に論文化されている。2019年12月に行った福岡言語学会(FLC)での発表は、ラベル付け理論においても長距離でのagreementは維持されるべきというテーマで、アイスランド語及び日本語の与格主語構文と英語のThere構文及び倒置構文を議論した。
2: おおむね順調に進展している
上述の通り、本研究テーマに関して、2件の学会発表を行い、そのうち1件の内容が論文化されている。特に、福岡言語学会(FLC)での発表は、韓国学会とのジョイント・カンファレンスということもあり、国内外のオーディエンスから有益な質問やコメントが得られた。
最終年度である2020年度に、上述の福岡言語学会で行った、ラベル付け理論においても長距離でのagreementは維持されるべきという内容を論文化し、国際ジャーナル等に投稿することを目指す。海外に出ることは難しい状態であるが、国内の同研究分野の研究者を中心に、研究相談を行い、発表段階での問題点等を克服した形での論文作成を目指す。
国際学会の旅費が当初の試算よりも高くなった。次年度の人件費等での補てんを計画している。
すべて 2019
すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (2件) (うち国際学会 2件)
Universal Grammar and Its Cross-linguistic Instantiations: Proceedings of the 12th Generative Linguistics in the Old World & the 21st Seoul International Conference on Generative Grammar
巻: workshop & poster ページ: 527-534