研究課題/領域番号 |
18K00659
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
瀧田 健介 同志社大学, 文学部, 准教授 (50632387)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 統語論 / ラベル付け / 省略現象 / 左枝条件 / 等位接続疑問文 / スルーシング / 「方」名詞節 / 生成文法 |
研究実績の概要 |
令和2年度は、前年度に引き続き省略現象について研究を継続し、「線状化に基づくラベル付け仮説」の観点からの考察を行った。 特に、前年度から継続している形容詞残余句を含むスルーシングに関する研究、および福井大学の中村太一氏、西南学院大学の前田雅子氏と今日で行った日英語の等位接続スルーシングに関する研究の発展として、日英語の等位接続wh疑問文において、通常許されないはずの左枝条件に違反したwh移動が許されるように見える、という現象について考察を行った。この成果は、中村太一氏、前田雅子氏との共同研究としてオンラインで行われた第28回日本語・韓国語言語学会において口頭発表され、またその学会論文集に掲載が決定している。 さらに、不定詞節におけるスルーシングにまつわる諸問題を整理し、日本語のスルーシングにおいて省略された統語構造が存在することを、数量詞の抜き出しなどの新しい証拠に基づいて論じた。この成果はオンラインで行われた、南山大学言語学研究センター第11回比較統語論・言語獲得ワークショップにおいて口頭発表された。また、その成果を出版する準備を進めている。 また、統語論におけるより一般的な理論的問題について、オンラインで行われた慶應言語学コロキアムの4回シリーズの第1回目において、北九州市立大学の葛西宏信宏信氏、静岡大学の小町将之氏、中京大学の大滝宏一氏と共同で講師を務めた。 その他、前年度から継続して研究を行ってきた「方」名詞節の構造に関する論文を公刊した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
新型コロナウイルスの影響により各種学会・研究会が延期・中止またはオンライン開催となったこと、および本務校でのオンライン授業への新たな対応などによって、研究遂行を行う時間が限りなく削減されてしまったため。
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今後の研究の推進方策 |
各種学会・研究会や研究者間の交流のオンライン化が進んだことを受け、より広範に、またより頻繁に交流を持つことにより、研究のさらなる発展を目指す。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスによって当初の研究計画を遂行することがほとんど不可能であったため、次年度使用額が生じた。今年度も、各種学会・研究会がオンラインで行われることが見込まれるため、主に理論言語学・比較統語論関係図書の購入費、消耗品費およびオンラインで開催予定の専門的知識の提供に係る研究協力者への謝金を中心に執行する予定である。
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