研究課題
令和4年度は、前年度に引き続き「線状化に基づくラベル付け仮説」を検証するための研究と、それに並行して生成文法理論において近年盛んに議論されている「強い極小主義仮説を満たす説明理論の構築」に関する研究を行った。まず、主に英語を対象に、「先行詞包摂型スルーシング」と呼ばれる現象について、その重要な性質である省略節とその先行節の間の時制などの不一致について「線状化に基づくラベル付け仮説」に基づく新しい分析を提案した。この成果は、2022年11月にオンラインで行われた日本英語学会第40回大会併設ワークショップにおいて口頭発表した。また、関連する研究として、日本語のスルーシングにおける定性の不一致についてもこの分析を応用した提案を行い、2022年12月に甲南大学において行われた日本英文学会関西支部大会および2023年2月にノートルダム清心女子大学において行われた第10回Okayama Linguistics Forumにおいていずれも招待発表として口頭発表を行った。また、前年度に行った動名詞とN'削除に関する研究成果を軽動詞構文一般に拡張した分析を提案した。この成果は2023年3月にカナダのサイモン・フレーザー大学において行われた第30回日本語韓国語言語学会(JK30)においてポスター発表した。加えて、九州大学の前田雅子氏、東北大学の中村太一氏と共同で、日本語のいわゆる難易構文に見られる島の効果の欠如について「コピー形成(Form Copy)」と呼ばれるメカニズムに基づく提案を行い、2022年8月にオンラインで行われたGLOW in Asia XIIIにおいて口頭発表および論文として発表した。また、同じく前田氏と中村氏と共同で、日本語主格名詞句の格認可に関する新しい提案を行い、2022年8月にオンラインで行われたSICOGG24において口頭発表および論文として発表を行った。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件) (うち国際学会 3件、 招待講演 2件)
Journal of Japanese Linguistics
巻: 38 ページ: 145~152
10.1515/jjl-2022-2054
Proceedings of the 13th Generative Linguistics in the Old World in Asia (GLOW in Asia XIII) 2022 Online Special
巻: - ページ: 257-269
Proceedings of The 24th Seoul International Conference on Generative Grammar (SICOGG 24)
巻: - ページ: 98-108