研究課題/領域番号 |
18K00663
|
研究機関 | 中央大学 |
研究代表者 |
牧野 武彦 中央大学, 経済学部, 教授 (00269482)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 英語発音 / 日本語話者 / 分節音 / プロソディー / 診断用パッセージ / 音連続 / 発音学習教材 |
研究実績の概要 |
コロナ禍が主な原因で、本プロジェクトの目的の一つである、日本語話者による英語音声の収集が遅れている。前年度終了の時点で、文セットと機材の準備が一応済んでいたが、収集自体については本年度はストップしていた。詳しくは次項で説明する。 本年度行った仕事としては、前年度中(2019年12月)にポーランドで開催された国際会議(Accents 2019)で行った口頭発表の論文化を進めた。論文集への掲載を招聘されたものである。内容は、様々な音声データベースや発音学習書で用いられている診断用パッセージを、分節音構成・音連続の種類・多様なプロソディーを引き出す可能性などについて分析したもので、音声収録の準備の一環となる研究である。論文化に際しては、論文集の編者とのやり取りを通して口頭発表した内容を大きく拡充・整理したが、そのために査読・編集作業に時間を要しており、本年度中の刊行はならなかった。刊行日程はまだ明らかになっていないが、次年度(2021年度)中になると思われる。 また、本プロジェクトおよび、本プロジェクトの前に行っていたプロジェクトの研究成果の一部を活用した英語発音学習教材の作成を前年度に始めた旨を前回報告していたが、これは本年度も継続して行った。当初の予定では本年度中に完成するはずであったが、この教材のために収録された実音声を分析し、それを反映する形の記述を大量に含めているため、執筆・編集作業が長引いており、本年度末の時点で完成は見ていない。これは次年度の刊行が見込まれる。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初の計画では前年度に音声の収録を済ませ、本年度はラベリングおよび記述的研究を行うはずであった。収録を本年度に行うことを目指し、ヘッドセットなどの機材を前年度末に揃えてあったが、コロナ禍により、対面かつヘッドセット共用を伴う収録の実行は事実上不可能になった。インフォーマント各自のデバイス(PCやスマートフォン)を用いて収録してもらうという形で、デバイスや録音環境などによる音質の差異をある程度許容して進めたいと考えていたが、コロナ禍によるオンライン授業への移行で授業に関する業務量が増大したことにより、収録というステップに進めるだけの時間的余裕を欠いてしまったのが、遅れの原因である。
|
今後の研究の推進方策 |
研究プロジェクトの外で行ったことだが、本年度の授業内で、受講者が各自のデバイスで録音した音声を課題として提出させた。これを聞く限り、音質の差異は、機械による処理にとっては問題でも、人間の耳による分析であれば許容範囲であることが分かった。従って、次年度(2021年度)は、この方式で音声収録を進める予定である。但し、インフォーマントを数多く募集できる状況ではないので、当初の計画よりも収録人数は少なくなってしまう可能性が高い。収録が済めばラベリングに進むことができるが、これは労働集約的な作業であるため、収録数が増えるほど、年度内の完了が難しくなる。プロジェクト最終年度であるため、収録数はそのバランスを睨みながら決めることとする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
海外の学会が軒並み中止になり、研究成果を発表するための旅費の支出がなかった。これに加え、音声の収録を進めることができなかったため、インフォーマントへの謝金の支出がなかった。 本年度は音声の収録を進めるため、謝金を支出する。海外学会での発表は不透明だが、現時点で、12月に1件、可能であればオンサイト開催する会議のアナウンスが来ているため、できればこれに参加して成果を発表したい。
|