昨年度出版された論文で音声収集用のパッセージの準備も整い、パンデミックも落ち着いたことにより、被験者から直接ICレコーダーとヘッドセット型マイクロフォンで音声を収録することが可能な環境はほぼ整った。しかし今年度中には実際に音声を収録する段階に進むことはできなかった。 音声収録のためには、収録対象者を決めなければならない。当初計画では所属大学の学生数十名を対象とする予定であったが、授業に参加した学生を使うことには実務上・道義上の問題があると認識するに至り、近年発達してきたクラウドソーシングによる被験者募集の可能性を探ることを考えざるを得なくなった。学生を使うにせよ、クラウドソーシングを使うにせよ、一定の時間が必要で、現実的に研究期間内に収録まで進めることは不可能であった。 加えて、学内で「人を対象とする研究倫理に関する規程」が2020年12月に整備され、当課題はこの対象となることが予想されたが、その手続きについての情報収集が遅れ、この点でも収録を間に合わせることは不可能になった。 本年度、この課題のために行った研究活動は、一つは、音声収集の被験者募集をクラウドソーシングで行う可能性について海外学会で情報収集したことである。もう一つは、この課題の前半でも使う予定であった、以前の課題で作成した日本語話者による英語音声のラベリングデータを、最近開発された、通言語的に音声ラベリングを自動生成できることを謳うツールの妥当性を検討する研究に提供するとともに議論にも参加した。これは学会でポスター発表された。 その他、この研究で分かったことを活用した英語音声教材を2021年度につついてもう一件作成する企画を提案したが、これはまだ承認には至っていない。
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