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2021 年度 実施状況報告書

生成文法における局所性条件に関するパラメータの理論的および実証的研究

研究課題

研究課題/領域番号 18K00666
研究機関明治大学

研究代表者

石井 透  明治大学, 文学部, 専任教授 (30193254)

研究期間 (年度) 2018-04-01 – 2023-03-31
キーワードMinimalist Program / Locality Constraints / MERGE
研究実績の概要

現在の極小モデルでは、言語の中心的な計算部門はすべての言語で同一でありMERGEという要素を組み合わせる操作のみから構成されていて、言語間差異を説明するパラメータは計算部門から音声表示までの過程である外在化過程に限定されるという「外在化過程パラメータ」の考え方が仮定されている。しかし、これまで提案された具体的な外在化過程パラメータ は、Berwick and Chomsky (2011)のwh移動と語順に関する示唆、Richards (2010; 2016)のwh移動・拡大投射原理・主要部移動に関する分析など少数に限られて いる上、移動/内的併合などの長距離依存関係に対する「局所性条件」の言語間差異に関する提案は存在しない。 昨年度は局所性条件の言語間差異について「外在化過程パラメータ」の立場から課題を抽出した。まず、「下接条件効果」に関しては、「空範疇原理効果」などの計算部門に適用される局所性条件とはことなり、韻律構造に適用される局所性条件によるものであるという可能性を検討した。本研究では、韻律構造は、統語構造とは独立しているが、写像によって結び付けら れているとする「韻律構造仮説」(Selkirk 1986; 1995, Nespor and Vogel 1986など)の立場、特にKratzer and Selkirk (2007)などで提案されている、「位相」が韻律構造を決定するのに重要な役割を果たすという考え方を採用し、韻律構造による「下接条件効果」の説明へと結び付けた。次に、言語間差異が存在 する「下接条件効果」などの局所性条件の局所領域の韻律構造には言語間差異が存在すると考え、「wh島の制約」・「主語条件」などで見られる「下接条件効果」に関する言語間差異は、各々の言語の韻律構造の違いに起因ことを発見した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

本来の予定では、カリフォルニア州立大学フレズノ校言語学科へ自ら赴き、共同研究を進めているAgbayani, Golston両教授の協力のもと、(カルフォルニアで は多数の被験者確保が可能な)英語母語話者とスペイン語母語話者を被験者として、音声実験室で音声分析ソフトを用いた検証実験を行うこととしていたが、一昨年度と同様に昨年度も、コ ロナウイルス感染症の影響でそれが不可能となったため、音声分析が予定よりも遅れている。

今後の研究の推進方策

言語間差異が存在する局所性条件の局所領域の韻律構造には言語間差異が存在するが、言語間差異が存在しない局所性条件の局所領域の韻律構造には言語間差異 が存在しないという方向を追求する予定である。「wh島の制約」・「主語条件」などで見られる「下接条件効果」に関する言語間差異は、各々の言語の韻律構造 の違いに起因ことが予想される。それを確かめるため、一昨年度および昨年度、コロナウイルス感染症の状況のため渡航できず実行できなかった、カリフォルニア州立大学フレズノ校にて音声分析を行う。カリフォルニア州立大学フレズノ校言語学科へ自ら赴き、共同研究を進めているAgbayani, Golston両教授の協力のもと、(カルフォルニアでは多数の被験者確保が可能な)英語母語話者とスペイン語母語話者を被験者として、音声実験室で音声分析ソフトを用いた 検証実験を行う。

次年度使用額が生じた理由

本来の予定では、カリフォルニア州立大学フレズノ校言語学科へ自ら赴き、共同研究を進めているAgbayani, Golston両教授の協力のもと、(カルフォルニアで は多数の被験者確保が可能な)英語母語話者とスペイン語母語話者を被験者として、音声実験室で音声分析ソフトを用いた検証実験を行うこととしていたが、コ ロナウイルス感染症の影響でそれが不可能となったため、その文が次年度使用額となっている。コロナウイルス感染症の状況が改善した際には、当初予定通りに カリフォルニア州立大学フレズノ校言語学科での音声学実験を行う予定である。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2021

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (1件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] On multiple sluicing in Japanese2021

    • 著者名/発表者名
      Toru Ishii and Brian Agbayani
    • 雑誌名

      Proceedings of the Thirty-Eighth West Coast Conference in Formal Linguistics

      巻: 38 ページ: 11-20

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Japanese multiple cleft constructions2021

    • 著者名/発表者名
      Toru Ishii and Brian Agbayani
    • 雑誌名

      MIT Working Papers in Linguistics: Proceedings of the 15th Workshop on Altaic Formal Linguistics, Cambridge

      巻: 15 ページ: 1/14

    • 査読あり / 国際共著
  • [雑誌論文] Where does Determinacy Apply?2021

    • 著者名/発表者名
      Toru Ishii and Nobu Goto
    • 雑誌名

      Proceedings of Sophia University Linguistic Society

      巻: 35 ページ: 24-42

  • [学会発表] Where does Determinacy Apply?2021

    • 著者名/発表者名
      Toru Ishii and Nobu Goto
    • 学会等名
      上智言語学会
    • 招待講演

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公開日: 2022-12-28  

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