研究課題/領域番号 |
18K00671
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研究機関 | 関西外国語大学 |
研究代表者 |
長友 俊一郎 関西外国語大学, 英語国際学部, 教授 (50594131)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | モダリティ / 英語(疑似)法助動詞 / 認知言語学 / 英語教育 |
研究実績の概要 |
①英語法助動詞の一般的な特徴が、どのように、高校生用のテキストで紹介されているかを調べた。動詞では表すことのできない意味を付け加える、動詞を助ける、話し手の考えや判断を表す、といった働きがあるとされていることが分かった。 ②ラネカーの認知文法の枠組みにおける法助動詞の特徴づけをまとめた。法助動詞は「現存性」(reality)と「非現存性」(irreality)との関連で捉えられている。She may be upset. のように、(「推量」や「判断」といった)認識的モダリティを表す法助動詞が文にある場合は、概念化主体の実在の概念形成が途上であり、まだ当該の作用が現存性の領域には組み込まれていないとされる(Langacker 2004: 544)。この段階は、「傾き段階」(inclination)と称され、概念化主体が作用を実在の概念として容認する(もしくは、実在として容認しない)心的な傾きの力を表す段階とされる。 ③主節のmayと共に(コンマが前に用いられない)because節が用いられている文の解釈を考察した。Sawada (2019)では、The baby may be crying because she is sleepy. では、mayとともに表されている事柄の「赤ちゃんが泣いている」ことに関して、「かもしれない」という心的態度が表されているのではなく、「眠たいから」というbecause節に関して「かもしれない」という心的態度が表されているとされる。すなわち、mayと共に提示されている「その赤ん坊が泣いている」という事柄は、because節での主張の現存的な前提を伝えている。この見解を、大規模コーパスを用いて検証・実証した。 ④メンタル・スペースの概念を用いて英語法助動詞を分析することにより、①②の見解を補う形で英語法助動詞の特徴を提出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究活動を通して、英語学的見解の英語教育への応用の在り方が、徐々に明らかになってきた。
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今後の研究の推進方策 |
高等学校学習指導要領の記述をまとめ、どのような提言ができるのかを考察する。「情報や考えなどを的確に理解したり適切に表現したり伝え合ったりするコミュニケーションを図る資質・能力」(【外国語編 英語編】高等学校学習指導要領)の育成の観点に立脚して、言語学の知見の英語教育への応用に関して検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症の影響があった。先行研究の掲載されている文献を入手・活用し、研究を充実させたい。
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