研究課題/領域番号 |
18K00674
|
研究機関 | 奈良大学 |
研究代表者 |
内田 聖二 奈良大学, 文学部, 教授 (00108416)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 高次表意 / 証拠性 / 意外性 / 関連性理論 |
研究実績の概要 |
初年度は、関連性理論における高次表意を念頭におきながら、言語類型論で述べられている証拠性と意外性に関する書籍、論文、研究発表等の主張を整理することを第一のテーマとしていた。それに従って本研究テーマにかかわる書籍を購入し、かつ国内外の関連学会に参加した。第11回英語学会国際春季フォーラムではとりわけ「fake past」にかかわる口頭発表から「意外性」につながる言語現象が参考になり、それを現在印刷中の論文「テクストのテンスとダイクシス」に応用した。アメリカ語用論学会では認知語用論に関する口頭発表に参加し、国内外の研究者と交流することができた。 慶應言語学コロキアムでの2日間にわたる西山佑司氏の意味論と語用論の境界についての連続講義はこれからの研究に示唆を与えてくれる有意義なものであった。 また、本研究の中心テーマである、高次表意については「’-ly + speaking’の語用論」のなかで、英語ではコバートな側面となるものも日本語では言語化される具体例として’-ly + speaking’をとりあげ、言語を交差する高次表意の特徴を論じた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)関連書籍の収集、国内外の関連学会出席から有意義な資料を得ることができたこと、(2)昨年度の業績、「’-ly + speaking’の語用論」のなかで今年度の研究につながるポイントが複数みえてきたこと、などからおおむね順調に推移していると思われる。
|
今後の研究の推進方策 |
関連性理論における高次表意については「発話行為と命題態度などを反映する」とされるが、今年度は、証拠性は発話行為に、意外性は命題態度に密接に関連する可能性を検討する。また、高次表意は、英語では日本語と異なりコバートな形で認識されるため、その理論的位置づけについての議論が少ない。文法カテゴリーとしての証拠性と意外性を関連づけることにより、高次表意の理論的基盤を補強する。 まずは、昨年度収集した各種資料や証拠性と意外性との論点を整理し、そこにかかわる言語現象が高次表意とどう交差するのか検討し、論文にまとめたい。
|