研究課題/領域番号 |
18K00674
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研究機関 | 奈良大学 |
研究代表者 |
内田 聖二 奈良大学, 文学部, 教授 (00108416)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 高次表意 / 証拠性 / 意外性 / 関連性理論 |
研究実績の概要 |
研究2年目の今年度は、証拠性と意外性にかかわる言語現象が高次表意とどう関連し、どう融合できるかを考察することを目標としていた。その研究成果の一端を「証拠性(evidentiality)/意外性(mirativity)と高次表意」(奈良英語学談話会、2019年12月)とのタイトルで口頭発表し、本研究課題の中心概念である、証拠性・意外性と高次表意との関係を議論した。さらに、この発表を出発点として、とりわけ、証拠性と高次表意に焦点を当てて、英語の'according to'と日本語の「...によると...だ」の違いにも言及しながら、「英語と日本語における証拠性表現の一側面」(奈良英語学談話会、2020年3月)を執筆した。 なお、昨年度の研究成果を『慣用表現・変則的表現から見える英語の姿』(共著)の第13章「フィクションのテンスとダイクシス」で公刊した。また、伝統的な文法で話題になることが多かった「クジラの公式」の昨今の論争に関して、「いわゆる「クジラの公式」をめぐって」のタイトルで口頭発表を行い、見逃されていた重要ポイントについて考察した。さらに、国際大会のThe 18th Annual Hawaii International Conference on Educationにおいて、'Constructing a Bilingual Japanese-English Collocations Dictionary: A Corpus-based Approach' (共著)のタイトルで口頭発表を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高次表意、証拠性、意外性という本研究における3つの基本概念の関係を、口頭発表「証拠性(evidentiality)/意外性(mirativity)と高次表意」でわかりやすく解説し、さらに、その成果を論文、「英語と日本語における証拠性表現の一側面」として発展させることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度となる来年度は、高次表意が必ずしも言語的に具現されない英語と高次表意が具現される傾向のある日本語とでは、その差がどこに起因するのかを明らかにすることが目標であるが、前年度の研究成果を踏まえ、まず、高次表意と意外性との関連を明らかにする。従来、プロソディは文法記述にどう組み込むか難問であったが、そこに高次表意の概念を応用する。それに向けて、第92回日本英文学会全国大会でのシンポジウム「関連性理論の射程」の講師として「高次表意からみた証拠性(evidentiality)/意外性(mirativity)」のタイトルで口頭発表を予定している(2020年5月琉球大学)。また、2020年11月にセビリア(スペイン)で開催されるThe 9th International Symposium on Intercultural, Cognitive and Social Pragmaticsでの口頭発表、'Higher-level Explicature: implications for comparative linguistics'が内定している。
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次年度使用額が生じた理由 |
いわゆるコロナ感染症の影響で、研究打ち合わせが中止となったため。次年度に使用予定。
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