研究課題/領域番号 |
18K00674
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研究機関 | 奈良大学 |
研究代表者 |
内田 聖二 奈良大学, その他部局等, 特別研究員 (00108416)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高次表意 / 証拠性 / メタ表象 / 関連性理論 |
研究実績の概要 |
本研究は言語類型論でいう証拠性(evidentiality)と意外性(mirativity)という文法的カテゴリーを 関連性理論における高次表意(higher-level exmplicature)という考え方を用いて再検討するものである。証拠性は新情報の情報源を明示することと、意外性は新情報と既知情報の差が予想外のことであることと、密接な関係があるが、その言語上の具現化は言語によって異なる。 新型コロナ感染症の影響で研究延長が許可された今年度は、(1)これも昨年度からの課題である日本英文学会のシンポジウムで講師を務めることと、(2)2020年度にオンライン形式で行われた国際大会の原稿を文字化するすること、の2つの目標があった。 前者の件では第93回日本英文学会において、シンポジウム「認知語用論からみた言語の諸相」の講師として「高次表意からみた証拠性(evidentiality)」のタイトトルで口頭発表を行った。また、その原稿を加筆修正した「メタ表象からみた証拠性(evidentiality)」を『奈良大学紀要』(第50号)で公刊した。中心トピックは本研究の核となる証拠性と高次表意あるいはメタ表象との関係で、とりわけ日本語の感覚・感情表現や願望表現には情報源と当該人物の関係が証拠性と密接にかかわることを論じた。 後者の件では、本研究のテーマをさらに発展させてその観点から日本語と英語を比較し、かつ比較言語学への応用可能性を示唆した、国際学会EPICS IXで行った口頭発表を加筆修正したものを国際雑誌に応募し、現在審査中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
紀要論文で本研究の中心テーマをまとめることができたことと、高次表意が必ずしも具現されない英語と高次表意が具現される傾向のある日本語との差について、国際学会EPICS IXでの口頭発表を文字化する過程で、文副詞、because節、文末小辞、伝達節、private predicatesなどの分析からさらに発展させることができた点は、大きな成果と言える。
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今後の研究の推進方策 |
国際雑誌に投稿論文として応募した、現在審査中の論文をコメントに沿って修正することを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍により、予定していた外国旅費、国内旅費が使用できなかったため、次年度に使用予定。また、書籍等の物品、謝金等にも使用を予定している。
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