研究課題/領域番号 |
18K00683
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
徳井 厚子 信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (40225751)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 外国人相談員 / 日本人コーワーカー / バイリンガル相談員 / コミュニケーション / 資質・能力 |
研究実績の概要 |
2020年から始まったコロナ禍において,外国人相談員(バイリンガル相談員,日本人コーワーカー)がどのようなコミュニケーションを行い,対応しているのか,どのような資質・能力が必要かについて,外国人相談員(バイリンガル相談員,日本人コーワーカー)へのインタビューを行い,その結果について学会の口頭発表を行い,論文にまとめた。インタビューからは,コロナ禍において検査や解雇,給付金など,時間と共に外国人からの相談のニーズが変化し,それに伴い外国人相談員も対応の仕方を変化させていたことが明らかになった。また,バイリンガルの外国人相談員は,外国人同士の誤った情報の訂正や新しい概念の説明など様々な対応を行なっていた。これらを踏まえ,コロナ禍のようなリスク時において,外国人相談員に必要な資質・能力について,変化する状況把握と臨機応変な対応,外国人住民のニーズの把握,正確な情報収集と伝達,わかりやすい伝達,制度についての知識が必要であることを提示し,論文にまとめた。 外国人労働者の受入れのあり方について聞き取りを行ない,多文化共生社会における日本語教育の現状と課題について国の施策を中心に報告書にまとめた。日本語教育の推進に関する法律,外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策,日本語教育人材の養成,外国人材の受け入れ制度による日本語能力の要件等についての現状と課題をまとめ,就労場面のコミュニケーションのモデルを提示した。また,出入国管理庁の「外国人材の受入れ・共生のための総合的対応策」(2019年4月)により,多文化共生総合相談ワンストップセンターが整備されるなど,政策レベルで外国人相談のシステムが整いつつあることを論文で指摘した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
バイリンガル相談員,日本人コーワーカーへのインタビューをもとに,両者の「能力」「協働」に対する概念が異なることを明らかにし,論文として発表した。 これまでインタビューから明らかになったバイリンガル相談員・日本人コーワーカーに必要な資質・能力を高める研修モデルを構築した。まず,両者に必要な資質・能力育成のための概念モデルを作成し,①相談員に共通する資質・能力,②異文化に対応するための資質・能力,③担当する分野の専門スキルに分けてまとめた。そして,このモデルをもとに,知識,態度,スキル,実践能力に分け,研修モデルを構築し,論文として発表した。 コロナ禍においてバイリンガル相談員,日本人コーワーカーがどのようにコミュニケーションを行なっているかについてインタビューを行い,必要な資質・能力についてまとめた。また,国レベルの外国人相談の施策についてまとめた。また,国レベルの外国人受入れの施策についてまとめた。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究でバイリンガル相談員,日本人コーワーカーに必要な資質・能力を高めるための研修モデルを構築した。構築した研修モデルを元に,バイリンガル相談員,日本人コーワーカーのための知識,態度,スキル,実践能力を高める研修案を開発する。これらの成果について論文等において発表する。 これまで行った外国人相談員と日本人コーワーカーへのインタビュー調査及び資質・能力の育成,研修モデル及び研修案について総括し,発表する。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初2021年において行われる学会に対面で参加予定であったが,新型コロナウィルス感染拡大のためオンラインとなり現地への出張がなくなり,支出を予定していた交通費に残額が生じた。今年度は研修案の開発等の参考文献収集,学会(対面)への参加を行う。
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