本研究は、外国人相談に対応する外国人相談員と日本人コーワーカーの異文化間協働を促進するための研修プログラムを開発することを目的としている。 今年度は、まず、外国人相談員および日本人コーワーカーを対象とする研修案の開発を行った。これらの研修案は、これまで筆者の行ってきた外国人相談場面におけるコミュニケーションの調査にもとづき開発したものである。「知識に関する研修」では、会話場面を使ったロールプレイの実践等を提案した。「スキルに関する研修」では、メモ取りの研修案等を提案した。「態度に関する研修」では、傾聴についての研修案、文化的感受性を高めるためのケーススタディや感情コントロール力を高めるための会話事例を使った研修案を提案した。実践力を高める研修では外国人相談員と日本人コーワーカーの協働の力を高めるための研修案、協働でふりかえりを促す研修案、当事者としての体験を共有しながら活かす研修案、当事者としての体験を振り返る研修案を提案した。これらの研修案については、2023年発行の著書に掲載予定である。 また、外国人相談員と日本人コーワーカーのコミュニケーションに関する調査について講演会を行なった。多文化化が進む日本の現状と施策について説明し、筆者が行ったインタビュー調査の結果を紹介し外国人相談員がさまざまな工夫をしながら支援のコミュニケーションを行なっていることを示した。また、「聴く力」の育成に関するトレーニングを行った。 また、異文化間教育学会発行の『異文化間教育事典』において「異文化間コミュニケーション」の項目を担当し、異文化間教育の観点から項目の説明を記載した。
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