研究課題/領域番号 |
18K00689
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研究機関 | 福岡教育大学 |
研究代表者 |
竹本 英代 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (50294484)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 日本語教育 / 日本語学校 / 日米関係 |
研究実績の概要 |
令和元年度は、まず本研究の意義付けを明らかにしながら、東京日本語学校の設立意義について国際学会で発表し、論文をまとめる計画をたてていた。当初の計画どおり、東京日本語学校の設立意義について、2019年7月にオランダのライデン大学で開催された第11回アジア学者会議で発表した。そして『福岡教育大学紀要』第69号において「東京日本語学校の設立にみる戦後の日本語教育」と題して論文をとりまとめた。 戦後に最初に創設された東京日本語学校は、昭和21年に財団法人言語文化研究所内で、将兵や「外国人一般」、具体的にはアメリカ人に上級の日本語を教える学校として計画された。当初は、研究所の理事の長沼直兄がGHQやCIEと学校設立について交渉していたが、終戦後の預金封鎖の影響で設立資金に目処が立たず、学校は設立されなかった。 しかし昭和23年以降は、長沼ではなく宣教師団がCIEと折衝を行う形で、日本語学校が開校された。実際には、六人委員会と日語文化学校の元校長であった来日宣教師たちが、戦前の日語文化学校の再建として、戦後に来日してくる宣教師のために開設したことが明らかになった。言語文化研究所の当初の「外国人一般」にアメリカプロテスタント宣教師は包括される対象であった。宣教師団は、来日する宣教師の日本語教育機関の設置を急務としていたのである。 実態としては、アメリカプロテスタント宣教師の日本語教育を目的とした学校が財団法人言語文化研究所内に設立された。宣教師団は戦前の日語文化学校の復活を求め、国際親善や日米関係に方針を転換した言語文化研究所との協力のなかで再興させた。東京日本語学校は、アメリカ側からいえば来日アメリカ人宣教師のための日本語教育を目的とし、日本側からいえば日米関係や日米親善のための事業として創設されたといえる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和元年度は、計画通り研究が進み、論文も完成した。しかし、次の京都日本語学校の資料調査が途中で終わっているため、令和2年度は、資料調査を引き続き行い、論文をとりまとめたい。
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今後の研究の推進方策 |
令和2年度は、昭和25年に設立された京都日本語学校の設立意義について論文をまとめたい。また、キリスト教事業連合委員会(Interboard Committee on Christian Work in Japan)の資料調査も同時に進めていく。
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次年度使用額が生じた理由 |
京都日本語学校に関する資料調査のための調査費用(旅費)を執行する予定していたが、コロナウイルス蔓延のため、調査が急遽中止となった。令和2年度も引き続き資料調査を行う予定である。
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