研究課題/領域番号 |
18K00691
|
研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
奥野 由紀子 首都大学東京, 人文科学研究科, 准教授 (80361880)
|
研究分担者 |
元田 静 東海大学, 国際教育センター, 准教授 (40349428)
渡部 倫子 広島大学, 教育学研究科, 准教授 (30379870)
佐藤 礼子 東京工業大学, リベラルアーツ研究教育院, 准教授 (30432298)
小林 明子 島根県立大学, 総合政策学部, 准教授 (40548195)
|
研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
|
キーワード | 内容言語統合型学習 / CLIL / 実践 / 観察 / データ収集 / 授業支援 / PEACE / 4C |
研究実績の概要 |
内容言語統合型学習(Content and Language Integrated Learning、以下CLIL)の指導原理に基づき、平和な世界の実現を目指すテーマ内容(以下「PEACE」)の授業実践を行いながら、1)言語、2)内容、3)思考 4)協学(4C)の各側面に関する学習者の発達過程を検証し、日本語教育におけるCLIL授業の具体的な教育支援策を探るために、初年度は日本語教育における「PEACE」を内容としたCLIL 実践とデータ収集を行った。 日本人学生と留学生との混合クラス(首都大学東京・広島大学)、海外の大学(ミュンヘン大学)、レベルや専門の異なるクラス(東海大学・東京工業大学・島根県立大学・東亜大学)など7大学において現場の実情(属性・レベル・関心)に合わせた実践を行いながら、初中級から上超級に至るコースを開発した。また研究代表者の実践では、分担者が毎授業を観察して、データ収集を行い、授業後にふり返りを行いながら協働で授業分析を行った。 さらに、授業支援のため、CLILの理念や具体的方法などをわかりやすく書いた入門書を執筆し『日本語教師のためのCLIL入門』(凡人社)を発行した。また、実践の内容につついて、国内外の学会で発表した。 ・奥野由紀子・佐藤礼子「教材におけるスキャフォールディングと教師によるスキャフォールディング-CLILによる日本語教材開発に向けて-」日本CLIL教育学会(J-CLIL)第1回大会 The 1st J-CLIL Annual Bilingual,早稲田大学 (2018年7月14日) ・奥野由紀子・元田静・村田裕美子・森山新「平和な社会を実現するための日本語教育実践と教師の役割-日本・ドイツ・韓国の大学における異なる学習環境に応じたトピック選択-」(パネル)ヴェネツィア2018年日本語教育国際研究大会(2018年8月4日)
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
CLILに基づいた複数の大学での実践により、PEACEプログラムの開発が進み、初中級から上超級までの内容が揃い、授業支援のための入門書を発刊できたことは大きな成果である。学期ごとに実践報告を行い、実践内容を共有できたことが大きい。遠隔地の分担者ともネット会議やネットを通してのミーティングを持ちながら作業を行っていること、学会発表や、教材開発、ネット発信などの具体的目標を決めることにより、研究が順調に進んでいると考える。また、当初予期していなかったことは起きていないことも進捗状況の要因として大きい。
|
今後の研究の推進方策 |
実践を継続すると共に、実践で収集したデータの分析をすすめて、各レベルや、活動への具体的な支援方法を明らかにながら支援方法の公開の仕方を検討する。具体的には以下のようにすすめる。 1)国内外におけるCLIL 学習者の言語面、思考面の変化について,授業中のディスカッションの様子や発表の録画データ、成果物、授業後の振り返りおよびインタビューから可視化して、分析する。 2)授業観察や録画データをもとに、教師の指導の介入(スキャフォールディングやフィードバック)の分析を行う。 3)教室談話の分析により協学における言語活動やその機能の効果を検証する。 4)CLIL で扱った「PEACE」に関する内容面の変化について,2年分の授業前と授業後のアンケートを分析し、その効果を測定する。CLIL 授業内の課題である、分担読解,プレゼンテーション,レポート,ポートフォリオ等を評価する際に用いる評価ルーブリックの妥当性の検証及び、カリキュラム評価を行う。 5)日本語教育におけるCLIL教材の開発と発信教育実践と研究成果を国内外の学会で発信し、実践に応用しやすいよう、シラバスや教材シート等をHPで公開する方法を検討する。 6)ワークショップ等を行い、それぞれの教育機関に合ったCLILの取り入れ方等の提案を行う。
|
次年度使用額が生じた理由 |
会議用レコーダーではなく、今年度はビデオによる録画を行ったため、物品費に変更が生じた。また、育児中の分担者の負担を考え、打ち合わせをインターネットによるものにしたため変更が生じた。また、研究の進捗が順調であるため、次年度以降に予定していたHP整備を始めることとなり変更が生じた。
|