研究課題/領域番号 |
18K00693
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
池田 広子 目白大学, 外国語学部, 教授 (80452035)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 省察的実践 / 実践コミュニティ / 協働省察 / 組織学習 / 成人学習論 / 意識変容の学習 / 教師教育 / ラウンドテーブル型教師研修 |
研究実績の概要 |
本研究は、東南アジアにおいて「学び合う教師コミュニティ型教師研修(ラウンドテーブル)」を継続的に実施し、教師コミュニティの広がりの中で当該研修に参加する教師と運営側の学びを明らかにすることを目的とするものである。年間サイクルの3年目である2020年度は【研究1】を踏まえ、ベトナムで実施した当該日本語教師研修の成果と可能性を明らかにした【研究2】。また、中国において継続的に当該研修を実施したことにより、参加者教師らにどのような学びや変容が見られたのかについて分析し、まとめた論文を投稿した【研究4】。上記の具体的な内容は以下の通りである。 【研究1】に関しては、2019年度の報告書で示した通りである。【研究2】ベトナム・ハノイ日本語教育研究会との共催により、2019年5月にラウンドテーブル型教師研修を実施し、その後、当該教師研修に参加したベトナム現地の日本語教師を対象に調査を進めた。収集したデータをもとに質的分析(コードマトリックス)を行い、得られた結果を学術論文として刊行した。【研究3】研究2で実施したベトナムにおける当該研修の運営者側の学びについて、共同研究者とともに調査、分析をおこなった。この結果は、日本語教育研究国際大会にエントリーする予定であったが、コロナ禍によって開催が見送りとなったため、別の方法(オンラインによる学会発表または論文投稿)で発表を予定している。【研究4】学びを培う教師コミュニティ研究会と華東師範大学(中国・上海)が共催して行っている本教師研修は5年目を迎えた。継続して参加した教員にどのような学びが生まれているのかについて、共同研究者とともに調査を進め、その結果を学術誌に投稿した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究2,4については予定通り進んでいる。研究3に関しては、コロナ禍の影響を受けて発表を予定していた国際大会の開催が延期となったため、別の方法での発表を検討している。また、2020年度に予定していたハイフォン(ベトナム)および中国の当該研修は実施が叶わなかった。しかし、2021年度については、ベトナムおよび中国で「遠隔と対面の複合型」による教師研修を行う予定である。現在、上記の企画について、現地の大学教員(ハイフォン公立大学、華東師範大学)やハノイ日本語研究会と日本側の運営メンバーと検討を重ね、その準備を進めている。また、日本語学校から講演依頼を受けて、当該研修の内容を発信する機会を得た。これにより、当初の計画の内容を超えて、国内の日本語教育関係者に発信することができた。 以上のことから、全体的な評価は「やや遅れている」と評価した。
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今後の研究の推進方策 |
(1)引き続き、中・越両国で本教師研修を実施しながら、参加者教師と運営者のデータを収集する。(2)すでに、分析が終了している【研究3】に関しては、得られた知見を論文として刊行できるように進めていく予定である。(3)前回の科研(課題番号:15K02649)で得られた結果(日・中における教師研修)と今回の結果を比較する。全体を総括した内容を図書として刊行する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
【次年度使用額が生じた理由】①国際大会における研究発表のための旅費、②教師研修の旅費と③データ収集のための費用を予定していたが、コロナ禍により学会が見送りとなったり、海外への渡航ができなくなったため。 【使用計画】2021年度の研究費は、主に以下の項目について使用する予定である。①ハイフォン(ベトナム)、中国における「オンラインと対面型による複合型」の教師研修を実施するための諸費用、②図書(研究書)の出版費用、③データを管理分析するためのパソコンおよび周辺機器に関わる費用。
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