研究課題/領域番号 |
18K00700
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
清田 淳子 立命館大学, 文学部, 教授 (30401582)
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研究分担者 |
宇津木 奈美子 帝京大学, 帝京スタディアブロードセンター日本語予備教育課程, 准教授 (90625287)
高梨 宏子 東海大学, 現代教養センター, 講師 (90748542)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 言語少数派生徒 / 遠隔授業 / 母語活用 / 教科学習支援 |
研究実績の概要 |
本研究では「言語少数派の児童生徒」(外国から来て日本で暮らす、日本語を母語としない子ども)に対する新たな教科学習支援の方法として、「教科・母語・日本語相互育成学習モデル」(岡崎1997)を遠隔授業として行う可能性について、(1)遠隔型の「母語による学習」場面では、国語教材文を扱った場合、どのような読みの活動が行われ、どのような学習課題が扱われているのか、(2)教材文の内容理解を進めるために母語支援者はどのような教授行動と復唱行動を取っているのか、という2つの研究課題を通して検討した。 分析の結果、課題(1)については、遠隔型の「母語による学習」では多様な読みの活動が展開され、高度な思考操作や理解力、子どもの考えを誘発し思考を深める学習課題が設定されていることがわかった。また、読むことだけでなく作文への活動の展開も可能であった。このことから遠隔型支援は母語支援者の人材リソースの開拓と、子どもにとっては母語を活用した学習支援を受ける機会の拡大につながることが示唆された。 課題(2)については、遠隔支援における母語支援者の教授行動は、「表現させる」行動が最も多く、「復唱する」「付け加える」が続いた。復唱行動については、母語支援者は「言い換え/受容」「再現/受容」の発話を中心に、「語尾上昇/疑問・否定」を時折交えながら復唱を行っていた。また、復唱の後続発話においては、支援者による「表現させる」「ワキの生徒に質問する」行動や生徒による「補足説明」「単純応答」の出現頻度が高かった。このことから上述した「高度な思考操作や理解力」が求められる学習課題は、支援者による一方的な説明や解説ではなく、生徒の考えを引き出し、引き出した考えに新たな情報を付け加えるという、参加者間のやりとりを基調とする授業展開の中で扱われていることが明らかとなった。
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