最終年度となった22年度は、これまで収集してきたデータに関する研究発表、及びその研究成果に基づきオンライン教材を作成した。その詳細は、以下の通りである。 1)前年度に不採択になった論文の内容を見直し、2つの研究発表を行った。そこで、「ライティングにおけるコーパスツール活用モデル」の問題点を考察した。また、短文完成を加えた新たなモデルを提案し、繰り返しの使用による効果や新モデルでのツールの使用パターンと産出の特徴を明らかにした。 2)23年4月からオンライン教材(ウェブサイト)の公開を開始した。本サイトは7つのビデオレッスンのページ、6つの練習・タスクのページで構成され、「ライティングにおけるコーパスツール活用モデル」に基づき、4つのテーマ(生活、文化、人間関係、社会)、32の作文に取り組めるにようになっている。対象者は、CEFRのA2レベルに到達しており、B1レベルを目指す日本語学習者である。 コーパスツールが貴重なリソースであるにもかかわらず、日本語学習者のライティングにおいてあまり使用されていないという背景があり、本研究が始まった。本研究によって、コーパスツールをライティングに使用する際の効果的な使用法が整理できたこと、教員が本サイトを用いてコーパスツールを用いたライティングの指導が行えるようになったこと、日本語学習者のコーパスツールの使用が支援できるようになったことは、重要な成果だと考える。
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