研究課題/領域番号 |
18K00703
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研究機関 | 国立情報学研究所 |
研究代表者 |
阿辺川 武 国立情報学研究所, コンテンツ科学研究系, 特任研究員 (00431776)
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研究分担者 |
ホドシチェク ボル 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 准教授 (10748768)
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研究期間 (年度) |
2018-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 接続表現 / 日本語学習支援 / アカデミックライティング |
研究実績の概要 |
前年度に引き続きコーパスから網羅的に収集した日本語の接続表現について,その定義を見直し,現時点では522語の接続表現となった.日本語学習者が意味から使用したい接続表現が得られるように,これらの接続表現に石黒が4つに大分類した意味機能を付与する作業をおこなった.その結果,「そのとき」「こういう場合」といった状況や場面を表す接続表現が4つの分類にあてはまらないことがわかり,これらについては独自に5番目の分類項目として定めた.
上記の接続表現の定義や意味機能の分類の作業の結果から,3つの対立軸が見えてきた.1. 指示代名詞を含むか含まないか? 2. 形態素論に基本的な接続表現か,そこから派生した表現か? 3.紙や電子化辞書に登録されているか否か? の3つである.この3つの軸のうち2, 3は従来の接続表現の研究でもほとんど言及されていない本研究独自の視点であり,興味深いことにどの軸も接続表現522項目をおおよそ等分している.これらの軸を組み合わせて分析すると,以下のことがわかった.基本接続表現は辞書に記載されている表現が多く,派生接続表現は辞書に記載されている表現が少ない.指示代名詞を含む接続表現は辞書に記載されている表現が少なく,指示代名詞を含まない接続表現は辞書に記載されている表現が多い,などである.
最後に本年度の収集対象である副詞表現については,引き続き副詞の定義および収集方法の検討し,副詞の語彙リストを大規模な日本語コーパスからから収集した.そしてこれらの表現について出現傾向を調べている段階である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
接続表現の定義見直し,接続表現の意味機能分類,辞書記載有無の調査,副詞表現の出現傾向の調査など,おおむね本研究課題の申請書通りに進展している.
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今後の研究の推進方策 |
本年度についても引き続き接続表現の調査・分析をおこなう,複合接続表現のパターン化については、意味役割との関連性を求め,実際の応用システムで利用するために,リスト外の接続表現判定実験をおこなう.本研究の結果として接続表現の分析結果を論文誌に投稿する. 副詞表現については出現傾向を把握し,接続表現の網羅的な収集手法についての研究を引き続きおこなっていく.
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次年度使用額が生じた理由 |
サーバのスペック増強の調達価格が当初予定していたよりも下落したため、経費に残額が生じた。繰り越した経費については、次年度分のサーバスペック増強のための経費と合算し使用する計画である。
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